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海外企業への利払いに課税強化 多国籍企業の税逃れ抑制

 多国籍企業の国際的な課税逃れ対策の一環として、政府・与党が海外の関係会社に対する利払いへの課税を強化する方針を固めたと一部報道があった。利息を高く設定するなどして、利払いという形で国内の利益を税率の安いタックスヘイブン(租税回避地)に移転することを防ぐのが狙いで、2019年度税制改正大綱に盛り込む方向だという。
 現状、海外の関連会社などに対し支払った利子は、利子の総額や現地法人の所得などを合算した金額の約50%にあたる分までは損金として差し引くことが認められている。これによって国内で課税される利益は少なくなる仕組みだ。
 これを利子総額や税引き前所得などを合算した指標(EBITDA)のうち30%程度までへと損金算入の基準を引き下げる。さらに、関係会社以外の第三者への利払い額も算入して厳格化する。
 多国籍企業の間では、税率が高い国の現地法人に、タックスヘイブンなどに設立した関連会社から資金を融資し、過大な利子を支払う形で利益を移転する節税策が広まっているとされる。資金の貸し借りはグループ企業同士で行われる場合が多いが、近年は第三者の企業も絡むケースも増えているといい、経済協力開発機構(OECD)が対策を勧告。英国やドイツはすでに同様の措置を取っている。
 一方、経済界からは日本企業が通常の設備投資目的で銀行などから多額な融資を受ける際に支障とならないような措置を求める声もあり、そうした仕組み作りも検討する。

提供元:エヌピー通信社

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 多国籍企業の国際的な課税逃れ対策の一環として、政府・与党が海外の関係会社に対する利払いへの課税を強化する方針を固めたと一部報道があった。利息を高く設定するなどして、利払いという形で国内の利益を税率の安いタックスヘイブン(租税回避地)に移転することを防ぐのが狙いで、2019年度税制改正大綱に盛り込む方向だという。 現状、海外の関連会社などに対し支払った利子は、利子の総額や現地法人の所得などを合算した金額の約50%にあたる分までは損金として差し引くことが認められている。これによって国内で課税される利益は少なくなる仕組みだ。 これを利子総額や税引き前所得などを合算した指標(EBITDA)のうち30%程度までへと損金算入の基準を引き下げる。さらに、関係会社以外の第三者への利払い額も算入して厳格化する。 多国籍企業の間では、税率が高い国の現地法人に、タックスヘイブンなどに設立した関連会社から資金を融資し、過大な利子を支払う形で利益を移転する節税策が広まっているとされる。資金の貸し借りはグループ企業同士で行われる場合が多いが、近年は第三者の企業も絡むケースも増えているといい、経済協力開発機構(OECD)が対策を勧告。英国やドイツはすでに同様の措置を取っている。 一方、経済界からは日本企業が通常の設備投資目的で銀行などから多額な融資を受ける際に支障とならないような措置を求める声もあり、そうした仕組み作りも検討する。提供元:エヌピー通信社
2018.11.29 17:56:13