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消費税増税時のポイント還元 狙い異なる財務省vs経産省

 政府が来年10月の消費税増税時の経済対策として検討しているキャッシュレス決済時のポイント還元制度作りが難航している。財務省と経産省の間で設計に対する考え方が違うためで、現場は困惑している。
 政府は今回の増税時に消費税還元セールを認めるガイドラインを作成する。この結果、例えば税抜き1千円の商品の場合、大手小売りは客離れを防ぐため当面20円分を自社の負担で値引きし、増税前と同じ1080円で売ることが予想される。一方、中小店舗は自己負担するだけの経営体力がない。そこで検討されているのがポイント還元制度で、いったん客に1100円を支払ってもらうが、20円分を政府がクレジットカード会社などを通じて還元する。
 財務省幹部は「増税後も税込み価格が変わらない環境を作る。自力で対応できない中小店舗を支援するのが目的だ」と話す。
 ただ、ポイント還元制度はそもそもキャッシュレス決済の普及を目指して考案されたものだ。2020年の東京五輪・パラリンピックでは現金支払いを嫌う外国人観光客に対応する必要がある。経産省内では「ただの増税対策にとどまらず、中小店舗の成長戦略にもつながる」(幹部)との声が上がる。
 一石二鳥の制度とも言えるが、来秋に迫る増税対策と中長期の課題であるキャッシュレス決済普及という2つの異なる政策目的が混在したことで現場は混乱している。制度には大規模なシステム改修が必要だが、1年程度の対策に多額の費用をかけるのは「非現実的」(決済業者)。支援対象店舗に外食を含めるかについても議論が分かれており、小売り幹部は「政策目的をはっきりしてほしい」と話す。

提供元:エヌピー通信社

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 政府が来年10月の消費税増税時の経済対策として検討しているキャッシュレス決済時のポイント還元制度作りが難航している。財務省と経産省の間で設計に対する考え方が違うためで、現場は困惑している。 政府は今回の増税時に消費税還元セールを認めるガイドラインを作成する。この結果、例えば税抜き1千円の商品の場合、大手小売りは客離れを防ぐため当面20円分を自社の負担で値引きし、増税前と同じ1080円で売ることが予想される。一方、中小店舗は自己負担するだけの経営体力がない。そこで検討されているのがポイント還元制度で、いったん客に1100円を支払ってもらうが、20円分を政府がクレジットカード会社などを通じて還元する。 財務省幹部は「増税後も税込み価格が変わらない環境を作る。自力で対応できない中小店舗を支援するのが目的だ」と話す。 ただ、ポイント還元制度はそもそもキャッシュレス決済の普及を目指して考案されたものだ。2020年の東京五輪・パラリンピックでは現金支払いを嫌う外国人観光客に対応する必要がある。経産省内では「ただの増税対策にとどまらず、中小店舗の成長戦略にもつながる」(幹部)との声が上がる。 一石二鳥の制度とも言えるが、来秋に迫る増税対策と中長期の課題であるキャッシュレス決済普及という2つの異なる政策目的が混在したことで現場は混乱している。制度には大規模なシステム改修が必要だが、1年程度の対策に多額の費用をかけるのは「非現実的」(決済業者)。支援対象店舗に外食を含めるかについても議論が分かれており、小売り幹部は「政策目的をはっきりしてほしい」と話す。提供元:エヌピー通信社
2018.11.09 09:25:28