製作の後事業の用に供された機械装置と認定、審査請求を棄却
法人が取得した機械装置が、中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却制度の適用要件である「その製作の後事業の用に供されたことのない」ものに該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、既に販売者において使用されていたというべきであることから、その製作の後事業の用に供されたことのないものには該当しないと判断して、審査請求を棄却した。
この事件は、精密板金加工等を営む法人が、取得した機械装置について、中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(措法42の6)を適用し、普通償却費及び特別償却費の合計額を損金の額に算入して法人税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、その機械装置は販売者において販売のための展示及び実演に使用されており、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」には該当しないと判断して、特別償却費の額は損金に算入されないとして、法人税等の更正処分等をしてきたのが発端となった。
そこで請求人側が、取得した機械装置は請求人が取得するまで固定資産として使用されたことはないことから、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」に当たると主張して、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。
請求人側は、取得した機械装置は、製作後、請求人が取得するまでの間、1)販売者の固定資産として使用されたことがなく、また棚卸資産として管理されていて資産価値の減少はない、2)販売者による1年間の保証の下、新品として取得したものである――ことから、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」に該当すると主張した。
裁決はまず、「その製作の後事業の用に供されたことがないもの」の意義に触れ、製作者及び取得した販売者(販売者等)において使用されたことのない、いわゆる新品のものをいい、それに該当するかどうかは販売者等における業種、業態、その資産の構成及び使用の状況に係る事実関係を総合的に勘案して判断されるという考え方を示した。
しかしながら、請求人が取得した機械装置は製作後、販売者側において1年以上にわたり展示場での展示及び実演に供され、部品交換もされていたと指摘。これらの事情を総合的に勘案すれば、販売者において使用されていたといえることから、「その製作の後事業の用に供されたことのないもの」には該当しないと判断して、審査請求を棄却した。
(2017.10.31国税不服審判所裁決)
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)