政権肝いりの成長戦略 規制緩和で中小の技術革新を! 固定資産税の減免も
革新的な技術やサービスの事業化を支援する「生産性向上特別措置法」が、5月16日の参院本会議で可決、成立した。一定の条件を満たした企業の実証実験を規制の対象から外すほか、先端技術に関する設備投資を促すために固定資産税の減免も盛り込んだ。主に中小企業がターゲットで、日本の産業競争力を維持・向上させたい政権肝いりの成長戦略だ。
新法で創設されたシステムは「サンドボックス制度」と呼ばれる。今夏にも設けられる内閣官房の窓口に、企業が事業計画の提出とともに規制の凍結を申請。専門家を集めた評価委員会の意見聴取を経て、規制の所管官庁が計画にゴーサインを出せば、企業は先端技術を使った実証実験が可能になる。早ければ年内にも「第1号」を決定する。
2020年度までの3年間に限られた法律だが、実験で問題がなければ規制そのものを見直す。金融サービスや遠隔医療、子どもや高齢者の見守りサービスなどに、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人口知能(AI)を取り入れることが想定される。
安倍晋三首相が重点政策に掲げる生産性革命の、大きな柱となる施策が動き出すわけだが、与党内には懐疑的な見方も少なくない。「掲げた政策目標を達成できないまま、焦って別の目標を掲げる悪い癖が出ている。だから施策のピントが少しずつずれても気づかない」(自民党の閣僚経験者)からだ。
当の政権内でも、新法の効果には自信がないらしい。関係者は「日本人労働者の仕事に対する熱意が低いことは、国際社会では常識。今回の特措法でそこを刺激したいのは間違いないが、実際にどこまで引き上げられるかは未知数というのが本音」と明かす。
提供元:エヌピー通信社