借金返済が8割の「消費税の使途」
衆院選の争点の一つが消費税の扱いだが、安倍首相は、消費税増税による増収分の使途を見直し、教育無償化を加えることを表明している。使途の見直しは、10%への消費税引上げによる増収5兆円から社会保障の充実に使われる1兆円を除いた借金返済に充てる4兆円のうち、2兆円を教育無償化などの新たな政策に充てるもの。
平成24年8月に成立した社会保障と税の一体改革により、消費税の収入は、社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て支援)に充てることが消費税法に定められ、消費税率は5%から8%、10%と2段階で引き上げられることが決まった。
消費税率引上げによる税収増は、5%から8%への引上げで8兆円程度、8%から10%への引上げで5兆円強の増収が見込まれるため、5%から10%への引上げによる5%分の増収は14兆円程度となる。
14兆円の使途は、社会保障の充実(社会保障4経費)が2.8兆円、社会保障の安定化として、1)基礎年金国庫負担割合2分の1が3.2兆円、2)後代への負担の付け回しの軽減(安定財源が確保できていないため従来は国債で賄われてきた既存の社会保障費のへの充当)が7.3兆円、3)消費税引上げに伴う(物価上昇分による)社会保障4経費の増が0.8兆円。
社会保障の安定化計11.3兆円が国の借金返済のための経費で、増収全体の8割を占めるが、この割合は教育無償化が実現すれば変わることになる。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)