HOME ニュース一覧 「中小企業信用保険法等の一部改正法案」が閣議決定

経営ニュース

「中小企業信用保険法等の一部改正法案」が閣議決定

 経済産業省は10日、「中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、現在開会中である第211回通常国会に提出されたと発表した。地域を支える中小企業のコロナ禍からの立直り(再生・再チャレンジ支援)やアフターコロナでの成長(積極的な投資促進)に向け、1)経営者保証改革、2)商工中金の業務範囲見直しによる再生支援等の強化を進める。

 併せて、コロナのような危機時の資金繰り支援の更なる円滑化(危機関連保証の要件緩和、商工中金による利用を認めない)を図る。信用保険制度における経営者保証改革等(中小企業信用保険法)は、まず、経営者保証に依存しない融資慣行の確立加速のため、無担保保険等において経営者保証を求めないこととする。法人から代表者への貸付け等がないこと、財務諸表を提出していること等が要件となる。

 経営者保証を徴求しない新規融資割合は、令和3年で保証協会が29%、政府系金融機関が47%となっている。次に、危機時における資金繰りの更なる円滑化のため、危機関連保証について、現在は融資が実行されていることが条件だが、指定期間中に認定申請が行われていれば利用できるよう要件を緩和する。危機関連保証は、通常の保証・セーフティネット保証(2.8億円)とは別枠(2.8億円)で債務の100%を保証する。

 一方、中小企業のための商工中金改革は、コロナ禍からの立直りや事業転換支援が急がれる中、商工中金の事業再生等のノウハウを1日でも早く活用する観点から、「中小企業による中小企業のための金融機関」との位置づけを更に明確化(民間金融機関とは異なり、住宅ローンなどの個人向け融資を行わない独自のビジネスモデル)しつつ、「半官半民」の弊害を除去して再生支援等において幅広く柔軟な支援を可能とする制度改正を行う。

 政府保有株式の処分には一定期間を要することから、この方針を法制化し、法案成立(公布日)から2年以内に業務範囲の見直し・政府保有株式の全部売却等を含む改革を実施する。政府保有株式の売却は、商工中金の財務状況が大きく改善し、信用力が向上したため、意義は低下した政府保有株式を全部売却し、議決権保有株主資格の対象から政府を削除する。株主資格を中小企業組合及びその構成員に限定、中小企業関係団体にも拡大する。

 政府保有株式全部売却後も、危機対応業務を実施する責務を課す。同一の危機事象について危機対応業務と危機関連保証が発動されている場合、商工中金の危機関連保証の利用を認めない(中小企業信用保険法)。また、将来的な完全民営化の勘案要素として、特別準備金の状況を含む自己資本の状況、ビジネスモデルの確立状況、危機対応業務の在り方等を勘案し、完全民営化の実施(商工中金法の廃止等)を判断する。

「中小企業信用保険法等の一部改正法案の閣議決定」について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

令和4年税関の輸入差止件数、3年連続2万6千件超

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


経営ニュース
/news/management/2023/img/img_keiei_03_s.jpg
 経済産業省は10日、「中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、現在開会中である第211回通常国会に提出されたと発表した。地域を支える中小企業のコロナ禍からの立直り(再生・再チャレンジ支援)やアフターコロナでの成長(積極的な投資促進)に向け、1)経営者保証改革、2)商工中金の業務範囲見直しによる再生支援等の強化を進める。 併せて、コロナのような危機時の資金繰り支援の更なる円滑化(危機関連保証の要件緩和、商工中金による利用を認めない)を図る。信用保険制度における経営者保証改革等(中小企業信用保険法)は、まず、経営者保証に依存しない融資慣行の確立加速のため、無担保保険等において経営者保証を求めないこととする。法人から代表者への貸付け等がないこと、財務諸表を提出していること等が要件となる。 経営者保証を徴求しない新規融資割合は、令和3年で保証協会が29%、政府系金融機関が47%となっている。次に、危機時における資金繰りの更なる円滑化のため、危機関連保証について、現在は融資が実行されていることが条件だが、指定期間中に認定申請が行われていれば利用できるよう要件を緩和する。危機関連保証は、通常の保証・セーフティネット保証(2.8億円)とは別枠(2.8億円)で債務の100%を保証する。 一方、中小企業のための商工中金改革は、コロナ禍からの立直りや事業転換支援が急がれる中、商工中金の事業再生等のノウハウを1日でも早く活用する観点から、「中小企業による中小企業のための金融機関」との位置づけを更に明確化(民間金融機関とは異なり、住宅ローンなどの個人向け融資を行わない独自のビジネスモデル)しつつ、「半官半民」の弊害を除去して再生支援等において幅広く柔軟な支援を可能とする制度改正を行う。 政府保有株式の処分には一定期間を要することから、この方針を法制化し、法案成立(公布日)から2年以内に業務範囲の見直し・政府保有株式の全部売却等を含む改革を実施する。政府保有株式の売却は、商工中金の財務状況が大きく改善し、信用力が向上したため、意義は低下した政府保有株式を全部売却し、議決権保有株主資格の対象から政府を削除する。株主資格を中小企業組合及びその構成員に限定、中小企業関係団体にも拡大する。 政府保有株式全部売却後も、危機対応業務を実施する責務を課す。同一の危機事象について危機対応業務と危機関連保証が発動されている場合、商工中金の危機関連保証の利用を認めない(中小企業信用保険法)。また、将来的な完全民営化の勘案要素として、特別準備金の状況を含む自己資本の状況、ビジネスモデルの確立状況、危機対応業務の在り方等を勘案し、完全民営化の実施(商工中金法の廃止等)を判断する。
2023.03.15 13:45:59