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都道府県別赤字法人率、34都道府県で改善

 東京商工リサーチが発表した「都道府県別赤字法人率調査」結果によると、国税庁が本年3月に公表した「国税庁統計法人税表」(2018年度)では、赤字法人(欠損法人)は181万6508社だった。全国の普通法人274万7492社のうち、赤字法人率は66.1%(前年度66.6%)で、前年度より0.5ポイント改善した。赤字法人率は、2011年から8年連続で改善しており、調査を開始した2005年以降では最低となった。

 都道府県別でみると、全国平均(66.1%)を上回ったのは23都府県で、前年度(18都府県)から5県増加した。また、赤字法人率が前年度より改善したのは34都道府県だった。赤字法人率が最も低かったのは、「沖縄県」の59.7%(前年度59.6%)で、3年連続で全国最低となった。沖縄では建設投資額に占める公共工事の割合が高く、法人数が多い建設業は公共工事受注のため赤字決算を避ける傾向が強い。

 次いで、「青森」61.0%、「山形」63.2%、「大阪」63.3%、「岩手」63.3%と続く。一方、赤字法人率が最も高かったのは12年連続で「徳島」の73.7%、次いで、「長野」70.1%、「香川」70.0%、「栃木」69.3%と続く。徳島は飲食業や宿泊業などのサービス業他の業績低迷が続くほか、地場産業の木工関連の不況や、競合の多い医療法人・福祉関係の赤字法人数の高さが赤字法人率を引き上げたとみられる。

 産業別では、前年に続いて「小売業」が最高の74.7%(前年度74.5%)と70%を超え、1年ぶりに悪化した。次いで、「金融・保険業」69.5%、「サービス業他」68.5%。産業別の赤字法人率は、10産業中6産業で改善したが、4産業で悪化した。最も赤字法人率が悪化したのは、「農・林・漁・鉱業」の2.5ポイント(64.8→67.4%)。一方、最も改善したのは「建設業」の1.2ポイント(59.8→58.5%)だった。

 2018年度の赤字法人率は、訪日客増加によるインバウンド景気、建設業でのオリンピック特需などによって8年連続で改善、過去最低の66.1%を記録した。ただ、全国的には、赤字法人率は改善傾向にあっても、依然として3社に2社が赤字である状況に変わりはなく、地方経済の回復が急がれる。また、2019年度は消費増税や年度末の新型コロナウイルス感染拡大もあり、今後、赤字法人率の再上昇も懸念されている。

2020年都道府県別「赤字法人率」調査について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 東京商工リサーチが発表した「都道府県別赤字法人率調査」結果によると、国税庁が本年3月に公表した「国税庁統計法人税表」(2018年度)では、赤字法人(欠損法人)は181万6508社だった。全国の普通法人274万7492社のうち、赤字法人率は66.1%(前年度66.6%)で、前年度より0.5ポイント改善した。赤字法人率は、2011年から8年連続で改善しており、調査を開始した2005年以降では最低となった。 都道府県別でみると、全国平均(66.1%)を上回ったのは23都府県で、前年度(18都府県)から5県増加した。また、赤字法人率が前年度より改善したのは34都道府県だった。赤字法人率が最も低かったのは、「沖縄県」の59.7%(前年度59.6%)で、3年連続で全国最低となった。沖縄では建設投資額に占める公共工事の割合が高く、法人数が多い建設業は公共工事受注のため赤字決算を避ける傾向が強い。  次いで、「青森」61.0%、「山形」63.2%、「大阪」63.3%、「岩手」63.3%と続く。一方、赤字法人率が最も高かったのは12年連続で「徳島」の73.7%、次いで、「長野」70.1%、「香川」70.0%、「栃木」69.3%と続く。徳島は飲食業や宿泊業などのサービス業他の業績低迷が続くほか、地場産業の木工関連の不況や、競合の多い医療法人・福祉関係の赤字法人数の高さが赤字法人率を引き上げたとみられる。  産業別では、前年に続いて「小売業」が最高の74.7%(前年度74.5%)と70%を超え、1年ぶりに悪化した。次いで、「金融・保険業」69.5%、「サービス業他」68.5%。産業別の赤字法人率は、10産業中6産業で改善したが、4産業で悪化した。最も赤字法人率が悪化したのは、「農・林・漁・鉱業」の2.5ポイント(64.8→67.4%)。一方、最も改善したのは「建設業」の1.2ポイント(59.8→58.5%)だった。 2018年度の赤字法人率は、訪日客増加によるインバウンド景気、建設業でのオリンピック特需などによって8年連続で改善、過去最低の66.1%を記録した。ただ、全国的には、赤字法人率は改善傾向にあっても、依然として3社に2社が赤字である状況に変わりはなく、地方経済の回復が急がれる。また、2019年度は消費増税や年度末の新型コロナウイルス感染拡大もあり、今後、赤字法人率の再上昇も懸念されている。
2020.07.14 16:14:59