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2016年の新設法人数は約12.8万社、7年連続増加

 東京商工リサーチが発表した「全国新設法人動向調査」結果によると、2016年の新設法人は、12万7829社で、2010年以降、7年連続で前年を上回ったが、増加率は前年を2.4ポイント下回る2.1%にとどまった。これは、リーマン・ショック後では前年比マイナスになった2009年を除いて、最も低い伸び率。増加ペースの鈍化傾向が鮮明になってきたことで、今後は起業促進に向けた官民挙げての支援と環境作りが急がれる。

 資本金別では、「5百万円以上1千万円未満」が2万5495社(前年比4.1%増)、「1百万円未満」が2万6600社(同2.9%増)、「1百万円以上5百万円未満」が5万7061社(同1.9%増)と、それぞれ増加。一方、「1億円以上」は414社(同18.0%減)、「5千万円以上1億円未満」は601社(同7.1%減)、「1千万円以上5千万円未満」は5542社(同4.4%減)と前年を下回った。

 資本金1千万円未満の「増加」に対して、1千万円以上が「減少」と対照的な動きを示した。最低資本金制度の廃止が浸透し、1千万円未満の小規模な資本金の法人が94.8%を占めている。また、産業別では、10産業のうち7産業で前年より増加した。増加率トップは、「建設業」の前年比9.2%増。建設業は2020年の東京五輪開催を控え、社会インフラ整備や民間投資など先行きの建築投資増が期待されており、設立が増えたとみられる。

 業種別で、最も高い伸びを示したのが「宿泊業」(前年比40.6%増)。訪日外国人の増加や東京五輪開催などをにらみ、今後への期待を反映している。また、「家具・装備品製造」が前年比31.1%増、「印刷・同関連業」が同15.8%増、「化学工業,石油製品製造」が同11.6%増、「繊維工業」が同9.4%増など、いずれも高い伸びを示し、先行き景気への期待をうかがわせた。

 都道府県別では、「東京都」が全体の29.4%(3万7679社)を占めて最多、次いで、「大阪府」が8.9%、「神奈川県」が6.5%、「愛知県」が4.8%。これに対し、新設法人数が最も少なかったのは「島根県」の309社、次いで、「鳥取県」335社、「高知県」369社の順。また、2016年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(最新は2015年度データ)で除して算出した「新設法人率」では、沖縄県が8.7%で最も高かった。

 沖縄県は、失業率が全国平均より高いが、起業意欲が高く、創業時には家族・親族などの支援が得られやすい土地柄も影響しているとみられる。次いで、「東京都」6.9%、「福岡県」5.8%、「千葉県」5.3%、「大阪府」5.1%の順。これに対し、低かったのは、「秋田県」2.5%、「長野県」2.6%の順。人口減少率(総務省人口推計・2016年10月現在)が大きな地域ほど新設法人の割合が低いことが分かった。

同調査結果

提供元:21C・TFフォーラム

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 東京商工リサーチが発表した「全国新設法人動向調査」結果によると、2016年の新設法人は、12万7829社で、2010年以降、7年連続で前年を上回ったが、増加率は前年を2.4ポイント下回る2.1%にとどまった。これは、リーマン・ショック後では前年比マイナスになった2009年を除いて、最も低い伸び率。増加ペースの鈍化傾向が鮮明になってきたことで、今後は起業促進に向けた官民挙げての支援と環境作りが急がれる。 資本金別では、「5百万円以上1千万円未満」が2万5495社(前年比4.1%増)、「1百万円未満」が2万6600社(同2.9%増)、「1百万円以上5百万円未満」が5万7061社(同1.9%増)と、それぞれ増加。一方、「1億円以上」は414社(同18.0%減)、「5千万円以上1億円未満」は601社(同7.1%減)、「1千万円以上5千万円未満」は5542社(同4.4%減)と前年を下回った。 資本金1千万円未満の「増加」に対して、1千万円以上が「減少」と対照的な動きを示した。最低資本金制度の廃止が浸透し、1千万円未満の小規模な資本金の法人が94.8%を占めている。また、産業別では、10産業のうち7産業で前年より増加した。増加率トップは、「建設業」の前年比9.2%増。建設業は2020年の東京五輪開催を控え、社会インフラ整備や民間投資など先行きの建築投資増が期待されており、設立が増えたとみられる。 業種別で、最も高い伸びを示したのが「宿泊業」(前年比40.6%増)。訪日外国人の増加や東京五輪開催などをにらみ、今後への期待を反映している。また、「家具・装備品製造」が前年比31.1%増、「印刷・同関連業」が同15.8%増、「化学工業,石油製品製造」が同11.6%増、「繊維工業」が同9.4%増など、いずれも高い伸びを示し、先行き景気への期待をうかがわせた。 都道府県別では、「東京都」が全体の29.4%(3万7679社)を占めて最多、次いで、「大阪府」が8.9%、「神奈川県」が6.5%、「愛知県」が4.8%。これに対し、新設法人数が最も少なかったのは「島根県」の309社、次いで、「鳥取県」335社、「高知県」369社の順。また、2016年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(最新は2015年度データ)で除して算出した「新設法人率」では、沖縄県が8.7%で最も高かった。  沖縄県は、失業率が全国平均より高いが、起業意欲が高く、創業時には家族・親族などの支援が得られやすい土地柄も影響しているとみられる。次いで、「東京都」6.9%、「福岡県」5.8%、「千葉県」5.3%、「大阪府」5.1%の順。これに対し、低かったのは、「秋田県」2.5%、「長野県」2.6%の順。人口減少率(総務省人口推計・2016年10月現在)が大きな地域ほど新設法人の割合が低いことが分かった。
2017.05.31 09:19:00