倒産企業の赤字企業率は49.8%と生存企業の2倍超
2016年の倒産企業の6割は「減収」で、市場ニーズに対応できない企業が目立ったことが、東京商工リサーチが発表した「2016年倒産企業の財務データ分析調査」結果で分かった。倒産企業の赤字企業率は49.8%と生存企業の2倍超に達し、倒産企業の61.4%は債務超過だった。調査は、同社が保有する財務情報から3期連続データのある2016年の倒産企業544社(個人企業を含む)と生存企業(32万2056社)を無作為に抽出、比較したもの。
大手企業の業績に牽引されるかたちで景気は緩やかな拡大を続けるが、業績改善の流れから取り残された中小企業が行き詰まっている構図が鮮明になった。2016年に倒産した544社の最新期の総売上高は、3405億8136万円(前期比0.05%増)と微増にとどまった。このうち、「減収企業」は338社(構成比62.1%)と6割を占め、売上不振から抜け出せない企業の脱落を浮き彫りにした。
赤字企業率(当期純損失を計上した企業数の比率)では、倒産企業は49.7%と半数を占めた。生存企業は21.8%で、2倍超の格差があった。倒産企業の赤字企業率は、2014年43.2%→15年40.6%→16年49.8%と推移し、緩やかな景気拡大に乗れず業績不振が続く企業の実態を映し出した。一方、生存企業の赤字企業率は、2014年21.3%→15年21.2%→16年21.8%と、対照的に穏やかに推移している。
借入依存度を示す「有利子負債構成率(総資産に対する長短借入金、社債などの割合)」では、倒産企業は2014年59.8%→15年61.4%→16年65.9%と右肩上がりに上昇。一方、生存企業は2014年29.2%→15年29.0%→16年29.4%と平準化なのに対し、過大な有利子負債(過剰債務)が経営の足かせになったことをうかがわせた。これは金融機関への返済猶予(リスケ)で、借入金の返済が進んでいないことも背景にあるとみられる。
自己資本比率では、倒産企業の平均が▲2.5%だった。自己資本比率は企業の基礎体力や安全性を示す指標で、この比率が低いほど借入金等への依存度が高く、比率のマイナスは債務超過を示す。生存企業の自己資本比率39.2%と比べて、倒産企業の財務内容の脆弱さが際立つ。最新期での自己資本比率別の構成比をみると、自己資本比率30%以上では、生存企業が全体の過半数(51.8%)を占めたのに対し、倒産企業は7.5%にとどまった。
提供元:21C・TFフォーラム