目次 第1章−第2節 2


(2) 田及び畑

[1] 宅地比準方式又は広大地評価に準じて評価する農地

 市街地周辺農地(評価通達36−3)、市街地農地(評価通達40)、広大な市街地農地等(評価通達40−2)及び生産緑地(評価通達40−3)

 これら市街地農地等の価格は、その地域の宅地の価格形成要因の影響下で形成される傾向にあります。このことから、これらの農地の評価単位は耕作の単位となっている1枚の農地ではなく、利用の単位となっている一団の農地で判定します。

 具体的には、次のように判定します。

 イ  所有している農地を自ら使用している場合には、耕作の単位にかかわらず、その全体をその利用の単位となっている一団の農地とします。

 ロ  所有している農地を自ら使用している場合において、その一部が生産緑地である場合には、生産緑地とそれ以外の部分を区分してそれぞれ利用の単位となっている一団の農地とします。

 生産緑地には、農地として管理する義務があり、宅地転用等について制限がありますので、他の市街地農地とは区分して評価の単位を判定しなければなりません。

 ハ  所有する農地の一部について、永小作権又は耕作権を設定させ、他の部分を自ら使用している場合には、永小作権又は耕作権が設定されている部分と自ら使用している部分をそれぞれ利用の単位となっている一団の農地とします。

 ニ  所有する農地を区分して複数の者に対して永小作権又は耕作権を設定させている場合には、同一人に貸し付けられている部分ごとに利用の単位となっている一団の農地とします。

 次のa〜gの農地の場合、a、b、dは自ら使用している農地ですので、これらで一団の農地になります。eは耕作権が設定されていることから、またcは生産緑地であることから、これらは単独でそれぞれが1評価単位になります。f及びgも自ら使用する農地ですが、他の農地とは公道で分断されていますので、これらで一団の農地になります。


 なお、このように評価単位を判定した結果、評価対象となる市街地農地等が評価通達40−2の広大な市街地農地等に該当する場合には、広大地として評価することになります。

 市街地農地等については、路線価に基づき評価する場合が多いと見込まれますが、評価単位の判定により路線価評価の画地調整率に影響し、また広大地評価の可否にも関係しますので、実務上非常に重要です。

 また、(1)宅地[6]不合理分割の取扱いは、市街地農地等についても適用されます。

[2] [1]以外の農地

 [1]以外の農地については、1枚の農地(耕作の単位となっている1区画の農地をいいます。)が1評価単位となります。

 ここに該当する農地は、倍率方式により評価する場合が多いと思われますが、倍率地域にはよく「国道沿い」や「県道沿い」を別区分にして他の地域よりも高い倍率を設定している例が見受けられます。農地が国道沿いや県道沿いにある場合、どこまでが国道又は県道沿いになるのかは、この評価単位に基づき判定します。

 例えば、次のような場合には、農地aは「国道沿い」の農地に該当しますが、bは「上記以外の地域」、つまり国道沿い以外の農地の倍率を適用することになります。



(3) 山林及び原野

 イ  宅地比準方式又は広大地評価に準じて評価する山林・原野

 市街地山林(評価通達49)、広大な市街地山林(評価通達49−2)、市街地原野(評価通達58−3)、広大な市街地原野(評価通達58−4)

 これら市街地山林・原野の価格は、その地域の宅地の価格を標準として形成される傾向にあります。このことから、これらの山林・原野の評価単位は筆界ではなく、利用の単位となっている一団の山林・原野で判定します。

 なお、(1)宅地[6]不合理分割の取扱いは、市街地山林等についても適用されます。

 ロ  イ以外の山林及び原野

 1筆の山林又は原野を1評価単位とします。


(4) 牧場及び池沼

 原野と同様です。


(5) 鉱泉地

 原則として1筆の鉱泉地が1 評価単位となります。


(6) 雑種地

 イ  原則

 雑種地は、利用の単位となっている一団の雑種地が1評価単位となります。この場合、一団の雑種地とは、同一の目的に供されている雑種地をいい、未利用の雑種地については、その全体を「利用の単位となっている一団の雑種地」とします。


 上の例の場合には、A、B及びCがそれぞれ異なる用途に供されていることから、それぞれで一団の雑種地となります。

 ロ  市街化区域等内において形状・地積の大小及び位置等の関係から一団の雑種地として評価する場合

 これは、前記1(3)「形状・地積の大小及び位置等の関係から地目の異なる土地を一団として評価する場合」と同じ要件及び理由から、原則からすると2以上の評価単位となる雑種地全体を一団の雑種地として評価するものです。


 上の例の場合には、A、B及びCの各雑種地は、その形状・地積の大小及び位置等からみて、全体を一団の雑種地として評価することが合理的と認められます。このような場合には、異なる用途に供されている場合にも全体を一団の雑種地として評価の対象とします。

 

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