目次 第1章−第2節 1


(3)  形状・地積の大小及び位置等の関係から地目の異なる土地を一団として評価する場合

 次の[1]、[2]及び[3]の各要件を満たす場合には、地目が異なる複数の土地を一体として評価します。

 この取扱いは、宅地に比準して評価する土地は、現況の利用状況に基づく評価ではなく、宅地転用を想定して評価することが妥当であることから、その地域の標準的な宅地を基準として評価の対象となる一団の土地の範囲を規定するものです。

[1]  市街化調整区域(都市計画法第7条)以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域にあること

 市街化区域内又は市街地的形態を形成するいわゆる未線引き地域(以下、「市街化区域等」といいます。)にある土地が対象となります。市街化調整区域内にある土地はこの取扱いの対象にはなりませんので、注意してください。

 これは、上記市街化区域等については、各土地の価格は宅地の価格を標準として形成されますが、市街化調整区域においては、原則として非宅地の宅地化が認められていませんので、この取扱いの対象とはされていません。

[2]  市街地農地(生産緑地を除きます。)、市街地山林、市街地原野及び宅地に状況が類似する雑種地等の2以上の地目の土地が隣接すること

 なお、この地目別評価の例外の取扱いは、宅地以外の地目の土地について適用されるものです。宅地については、この取扱いの適用はありません。

[3]  形状・地積の大小及び位置等からみて一団として評価することが合理的と認められること

 この合理性の判断は、宅地に転用した場合の宅地としての効用の観点から判断します。具体的には、面積狭小及び不整形のため標準的な宅地の効用を果たせない場合(図a)や、単独では接道義務等の点から宅地としての利用が困難な場合(図b)等があります。このような場合には、地目の異なる隣接地を一団として利用することにより、標準的な宅地の効用を発揮できるものと認められますので、評価する際にも、これらを一団として評価の対象とするものです。

 なお、一団として評価の対象とすることにより広大地の要件を満たすこととなる場合には、広大地として評価することになります。この意味でもこの規定は評価実務において非常に重要なものです。


 aの場合には、農地、山林及び雑種地のそれぞれ単独では、標準的な規模の宅地に比べると規模が小さく、また間口狭小・奥行が長大である形状から、宅地としての効用が発揮できません。bは、農地を単体で見た場合には、建築基準法上の接道義務を満たさないこととなり、やはり宅地としての効用が発揮できないと見込まれます。

 このような場合には、各地目の土地を一体として評価の対象とします。

 

目次 次ページ