インターネットでダウンロードする電子取引データの保存
リエ「黒田さん。ECサイトで購入した場合などに、そのECサイト上で領収書等のデータを後からでも確認できる場合、領収書等のデータをダウンロードして保存しなくても大丈夫と耳にしたんですが、本当でしょうか。」
黒田「一定の条件はありますが、ECサイト上で領収書等データをダウンロードすることができる場合、いつでも確認が可能な状態であれば、領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えないこととされました。他にも、金融機関のインターネットバンキングを利用した振込等の電子取引データの保存について、オンライン上の通帳や入出金明細等による保存での対応が認められるとともに、いつでも確認が可能な状態であれば、オンライン上の通帳等をダウンロードして保存しなくてもよいこととされました。」
リエ「ECサイトに係る電子取引データのほかにも、インターネットバンキングに係る電子取引データもダウンロード保存しなくてよくなったんですね。その一定の条件とは何でしょうか。」
黒田「まず1つ目の条件ですが、電子取引のデータ保存制度は真実性の確保と検索機能の確保が要件であることから、ECサイトやインターネットバンキングにおいて、この要件が満たされている必要があります。」
リエ「基本的にECサイトの購入者側やインターネットバンキングの利用者側が、過去の取引履歴を削除や訂正することはできないと思いますので真実性の確保は大丈夫そうですが、検索機能は確保できていないところもありそうですね。」
黒田「その点について、検索機能の確保が不要となる一定の事業者は、ECサイトやインターネットバンキングにおいて、検索機能が確保されている必要がありませんので、真実性の確保がされていれば、領収書等データやオンライン上の通帳等の電子データをダウンロードして保存する必要はありません。」
リエ「なるほど。たしか検索機能の確保が不要となる事業者は、税務調査の際に電子データの提示等の求めに応じることができて、基準期間の売上高が5000万円以下又は電子データを印刷した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしている事業者でしたよね。」
黒田「そうです。電子データを印刷して書面で整然と保管しているところは問題ないかと思います。次に2つ目の条件ですが、電子データの保存期間です。電子データの保存期間は原則7年、欠損金が生じた事業年度は10年となり、保存期間中はECサイトやインターネットバンキング上で電子データが確認できる状態でなければなりません。保存期間中にECサイトやインターネットバンキング上で電子データの確認ができなくなる場合には、電子データをダウンロードして保存する必要があります。」
リエ「そうなんですね。ECサイトの領収書等データや金融機関のオンライン上の通帳等を過去10年分も確認できるところはそう多くなさそうですね。」
黒田「そうですね。ECサイトやインターネットバンキングの規約等をよく確認して判断する必要があります。また、ECサイトやインターネットバンキングの規約等が変更され、過去の電子データが確認できなくなる可能性もありますので、基本的には電子データをダウンロードして保存するほうが良いかと思います。」
リエ「わかりました。ありがとうございました。」