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税務代理権限証書の記載要領の変更事項について

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田中社長「黒田さんこんにちは。令和6年4月1日から税務代理権限証書の記載要領に変更があったようですが、どのようなものですか。」

黒田「田中社長、こんにちは。税務代理権限証書の記載要領の変更点ですね。税務代理権限証書の企業側が知っておくべき変更点は大きく分けて3点です。1点目は、旧税務代理権限証書(令和6年3月31日以前の様式)の『調査の通知に関する同意』の欄が『調査の通知・終了の際の手続きに関する同意』へ変更となり、①調査の通知、②調査終了時点において更正決定等をすべきと認められない場合における、その旨の通知、③調査の結果、更正決定等をすべきと認められる場合における、調査結果の内容の説明等(当該説明に併せて修正申告等の勧奨が行われる場合における必要な説明・書面の交付を含む。)のチェック項目が追加されています。」

田中社長「チェック項目の追加内容は要するにどういったことでしょう。」

黒田「国税通則法では調査結果の説明は納税義務者の同意がなければ顧問税理士等にも行うことはできず、旧税務代理権限証書の場合、調査通知を顧問税理士等が代理で受ける記述(①)はできるようになっていましたが、調査結果を納税義務者の同意なしで説明することはできず、納税義務者にも顧問税理士等にも説明するといったことが行われていました。様式変更後は追加のチェック項目(②・③)の記述(税務代理人へ調査結果の説明等の同意)により調査結果の説明を顧問税理士等が代理で受けることがスムーズにできるようになりました。」

田中社長「なるほど。納税義務者は調査官から調査結果を聞いてもよくわからないので、結局は改めて税理士さんに説明してもらうことになりますからね。税務署も専門知識が不足している納税義務者への説明を省けるので双方にとって良い変更ですね。」

黒田「そうですね。2点目は、税務代理の対象となる書類の受領に関する事項欄の追加です。今まで納税者本人しか受け取ることができなかった更正通知書や加算税の賦課決定通知書等について、e-Taxにより代理受領するための記述ができるようになりました。」

田中社長「そういった書類は結局、税理士の先生にお渡ししますからね。」

黒田「そうですね。こちらもいち早く確認ができますので助かります。3点目は、委任状欄の追加です。」

田中社長「委任状とは何に対しての委任ですか。」

黒田「申告書の閲覧や納税証明書の発行等、税務代理に含まれていない行為を委任する場合に別紙の委任状の提出が不要となり、税務代理権限証書の委任状欄の提出で対応が可能となります。」

田中社長「なるほど。これも手間が省けるということですね。」

黒田「はい。その通りです。税務代理権限証書の変更点は以上の3点となりますが、もう1点、関係事項で税務代理権限証書に記載した税務代理の委任が終了した旨の通知書の提出が追加されました。こちらは、手続きの対象者が税理士又は税理士法人となっておりますので、納税義務者(法人の代表者)が行う手続きではありませんが、税務代理権限証書に関係する追加事項でしたのでご説明しておきます。税務代理の委任が終了しているにも拘わらず、税務署からの問い合わせが前の税理士にいくということも多くあります。税務署側の手間を省くためにも、事前に税理士が変更になったことを知っておきたいのでしょう。」

田中社長「よくわかりました。ありがとうございます。」

監修

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税理士 坂部達夫

税理士法人坂部綜合会計/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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田中社長「黒田さんこんにちは。令和6年4月1日から税務代理権限証書の記載要領に変更があったようですが、どのようなものですか。」黒田「田中社長、こんにちは。税務代理権限証書の記載要領の変更点ですね。税務代理権限証書の企業側が知っておくべき変更点は大きく分けて3点です。1点目は、旧税務代理権限証書(令和6年3月31日以前の様式)の『調査の通知に関する同意』の欄が『調査の通知・終了の際の手続きに関する同意』へ変更となり、①調査の通知、②調査終了時点において更正決定等をすべきと認められない場合における、その旨の通知、③調査の結果、更正決定等をすべきと認められる場合における、調査結果の内容の説明等(当該説明に併せて修正申告等の勧奨が行われる場合における必要な説明・書面の交付を含む。)のチェック項目が追加されています。」田中社長「チェック項目の追加内容は要するにどういったことでしょう。」黒田「国税通則法では調査結果の説明は納税義務者の同意がなければ顧問税理士等にも行うことはできず、旧税務代理権限証書の場合、調査通知を顧問税理士等が代理で受ける記述(①)はできるようになっていましたが、調査結果を納税義務者の同意なしで説明することはできず、納税義務者にも顧問税理士等にも説明するといったことが行われていました。様式変更後は追加のチェック項目(②・③)の記述(税務代理人へ調査結果の説明等の同意)により調査結果の説明を顧問税理士等が代理で受けることがスムーズにできるようになりました。」田中社長「なるほど。納税義務者は調査官から調査結果を聞いてもよくわからないので、結局は改めて税理士さんに説明してもらうことになりますからね。税務署も専門知識が不足している納税義務者への説明を省けるので双方にとって良い変更ですね。」黒田「そうですね。2点目は、税務代理の対象となる書類の受領に関する事項欄の追加です。今まで納税者本人しか受け取ることができなかった更正通知書や加算税の賦課決定通知書等について、e-Taxにより代理受領するための記述ができるようになりました。」田中社長「そういった書類は結局、税理士の先生にお渡ししますからね。」黒田「そうですね。こちらもいち早く確認ができますので助かります。3点目は、委任状欄の追加です。」田中社長「委任状とは何に対しての委任ですか。」黒田「申告書の閲覧や納税証明書の発行等、税務代理に含まれていない行為を委任する場合に別紙の委任状の提出が不要となり、税務代理権限証書の委任状欄の提出で対応が可能となります。」田中社長「なるほど。これも手間が省けるということですね。」黒田「はい。その通りです。税務代理権限証書の変更点は以上の3点となりますが、もう1点、関係事項で税務代理権限証書に記載した税務代理の委任が終了した旨の通知書の提出が追加されました。こちらは、手続きの対象者が税理士又は税理士法人となっておりますので、納税義務者(法人の代表者)が行う手続きではありませんが、税務代理権限証書に関係する追加事項でしたのでご説明しておきます。税務代理の委任が終了しているにも拘わらず、税務署からの問い合わせが前の税理士にいくということも多くあります。税務署側の手間を省くためにも、事前に税理士が変更になったことを知っておきたいのでしょう。」田中社長「よくわかりました。ありがとうございます。」
2024.05.20 14:56:58