交際費から除かれる飲食費の範囲が拡大
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リエ「令和6年度税制改正で交際費の取り扱いが改正されたと聞きましたが、どのように変わるのですか。」
黒田「令和6年4月から交際費とされない飲食費の上限額が引き上げられました。得意先等の飲食費は、参加者1人当たりの金額がこれまで5000円以下であれば、交際費等の範囲から除かれていました。それが令和6年4月以降の支出分から、参加者1人当たり1万円以下に引き上げられました。得意先や仕入先等の関係者と親睦を深めるための接待飲食等に要する費用は、交際費等として原則損金不算入とされますが、規定事項を記載した書類を保存することを要件に損金算入適用を受けることができます。」
リエ「規定事項の記載した書類といいますと。」
黒田「それは、飲食等のあった年月日や得意先等の名称及び参加者人数等が記載された領収書や帳簿です。」
リエ「確かに領収書等に詳細に記載があると会計処理をする際、交際費から除く飲食費なのか判断することができるので、当事者が記録して保管することが大切ですね。ところで、1万円以下か否かの判定はどのようにするのですか。」
黒田「1万円基準判定は、経理方式により異なります。税込経理の場合は税込金額で、税抜経理の場合は税抜金額で判断することになります。税抜経理方式を採用している事業者がインボイス発行事業者でない飲食店で飲食等をした場合、原則はその支払い金額に消費税はないものとされているため、領収書に消費税額が記載されていたとしても支払総額で1万円基準判定を行いますが、経過措置により令和5年10月1日から3年間と令和8年10月1日から3年間は、仕入税額相当額の80%又は50%を仕入税額控除できるようになっていますので、1万円基準判定は支払総額から仕入税額控除できる金額を差し引いた金額で判定を行うことになります。」
リエ「免税事業者等に対して飲食費を支出した場合の1万円基準の判定には、ひと手間掛かりますね。インボイス制度導入に伴い経理担当者は、ますます負担が大きくなります。ところで、先程交際費は、全額損金不算入が原則とされていると仰っていましたが、交際費課税の特例制度も改正があったのですか。」
黒田「この制度については、事業拡大や新規取引の機会を増やすことができる事業活動費として必要とされるため、3年間(令和8年3月31日まで)延長されました。期末資本金の額が1億円以下の中小法人は、年間に支出した交際費800万円までの金額損金算入と接待飲食費の50%の損金算入の選択適用が認められています。また、中小法人以外で期末資本金の額が100億円以下の法人は、接待飲食費の50%の損金算入の適用が認められ、100億円超の法人の場合は、支出した交際費の全額が損金不算入となります。」
リエ「今回の改正で、中小法人以外の資本金の額が大きい企業にとってはメリットが大きいですね。」
黒田「そういうことになりますね。近年物価高騰の影響もあり、1人当たり5000円以上超えることが多いため企業にとっては望ましい改正となったのではないでしょうか。また、飲食業界の支援なども背景にあるようです。」
リエ「よく分かりました。ありがとうございます。」