「歩道状空地」の用に供される宅地評価
Q、
大規模なマンション等の施設開発に際して、自治体からの行政指導で私が所有する道路に接する宅地の一部につき、堀や壁で遮断せずに一般人が自由に通行できるような区域として設置することを求めてきました。このような区域を「歩道状空地」というそうですが、この「歩道状空地」の用に供されている宅地については、どのように評価するのでしょうか。
A、
マンションやアパートを建築する際に、市から開発行為の許可を受けるため、敷地のうち道路沿いの一部を私道として整備する場合があります。
このような私道を「歩道状空地」といいます。
不特定多数の歩行者が通行することのできるよう、道路に沿って整備された通路上の空間です。歩道状空地の舗装には、アスファルト舗装のほか、カラフルなコンクリートブロックを敷き詰めるインターロッキング舗装がよく用いられています。
この「歩道状空地」の用に供されている宅地については、従来は建物の敷地の一部として、評価されていました。
ところが、「歩道状空地」の用に供されている宅地の評価について争われた最高裁判所平成29年2月28日判決では、従来の取扱いとは異なる判断をしました。そして、この最高裁判決を踏まえ国税庁は一定の要件を満たす「歩道状空地」については、私道の用に供されている宅地として、今までに比べ低い評価をする取扱いを公表。具体的には、「歩道状空地」の用に供されている宅地が次の3つの要件を満たす場合には、評価通達24に基づき「私道の用に供されている宅地」として評価するとされました。
① 都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備されていること。
②道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗道が施されたものであること。
② 居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されていること。
上記3つの要件を満たす場合には、客観的交換価値に低下が認められるとして、私道共用宅地として評価します。例えば行き止まり私道のように特定の者が通行する道路については3割の評価額になります。
これに対して、公道から公道へ通り抜けできる私道のように不特定多数の者が通行する通り抜け道路なら評価額はゼロとなります。
このように、従来は建物の敷地の一部として評価されていた「歩道状空地」ですが、一定の要件を満たすものは私道共用宅地として、相続税評価額が3割又はゼロの評価となります。