テレワークの推進
テレワークの推進
あゆみ:コロナ禍が明けてからあまりテレワークって言わなくなった気がするんだけど。
ケン:そうかもしれませんね。
通勤電車も以前ほどではないですが満員の状態になっているようですし、テレワークで仕事しています、という人の方が少ないかもしれませんね。
あゆみ:でも、テレワークって時間や場所を選ばずに働くことができるから、メリットもあるわよね?
ケン:おっしゃる通りです。
コロナ禍で急速にテレワークが普及しましたので、生産性が低下したなどと言われることもありましたが、情報通信機器の発達とともにセキュリティの確保の課題なども解決されつつあり、テレワーク環境は飛躍的に変化しているといえます。
また、国としても地方をはじめとするさらなる普及率の向上をめざして取り組んでいます。
あゆみ:そう、働き方改革なんて言われていたしね。
そもそもコロナ禍で普及したわけだから新型コロナ感染症やインフルエンザの感染防止にもなるからね。
ケン:テレワークと一言で言っても3種類あるってご存じですか?
あゆみ:3種類もあるの?「在宅勤務」しか知らなかった。
ケン:その「在宅勤務」は3種類のうちの一つです。あとの2つは「サテライトオフィス勤務」と「モバイル勤務」です。
あゆみ:「サテライトオフィス勤務」は、中小零細の我々にはあまり関係なく大企業がやっているなんだろうなってある程度想像できるけど、「モバイル勤務」って何?
ケン:移動中の交通機関や顧問先、カフェやホテル、空港のラウンジなどを就業場所とする働き方です。移動中のすき間時間に効率的に業務を行うことができます。
「サテライトオフィス勤務」も最近レンタルオフィスを利用しているフリーランスの方々がいらっしゃいますので、一概に大企業だけってわけでもないんですよ。
テレワーク導入の目的
あゆみ:私のお店はテレワークって言われてもお店に来てもらって初めて成り立つ商売だからテレワークって導入すべきなのかな?
ケン:ちょっと古い資料ですが、内閣府が各企業にアンケートを取ったところ、テレワーク導入の目的として一番多かったものが「定型的業務の生産性向上」です。
第2位は「従業員の移動時間の短縮」、第3位が「通勤困難者への対応」、第4位「従業員のゆとりと健康生活」、第5位が「人材の雇用確保・流出の防止」となっています。
あゆみ社長のお店も部署によってはテレワークが可能な部署もあると思います。
従業員にゆとりを持たせる意味においてもテレワークによる働き方改革を考えてみてもいいかもしれません。
我々税理士業界はほとんどがデスクワークですので、多くの事務所でテレワークが導入されています。我々税理業界だけではなく、テレワーク導入には経営者トップの強い意志により実現できているようです。
テレワーク導入の効果
あゆみ:実際、テレワークにしたらどういう効果があるの?
ケン:総務省のホームページによると、社会、企業、労働者に対し、次のような様々な効果があると考えられています。
【社会に対する効果】
・意欲があるあらゆる世代の、その能力をいかんなく発揮できる環境の実現に寄与
・女性・高齢者・障害者などの就業機会の拡大に寄与
・UJIターン、二地域居住や地域での企業等を通じた地域活性化に寄与
・交通代替によるCO2の削減などによる地球温暖化防止、過密交通の緩和に寄与
【企業に対する効果】
・柔軟な働き方の実現による有能・多様な人材の確保
・迅速、機敏な顧客対応により生産性・営業効率、顧客満足度の向上
・オフィスコスト、通勤・移動時間、交通費の削減
・非常時の事業継続(BCP)
・業務改革(BPR、DX)
【労働者に対する効果】
・家族で過ごす時間の増加など、多様で柔軟な働き方の実現
・仕事と育児・介護・治療の両立
・通勤、移動時間の削減
テレワークの導入プロセス
あゆみ:とはいってもね、導入にはハードル高そうだし…。
ケン:確かに導入には次のプロセスを踏んでいく必要があります。
1. 導入の検討と経営判断(導入目的・基本方針の決定)
2. 現状把握(業務分析)
3. 推進体制の構築(プロジェクトチーム結成)
4. 導入に向けた具体的推進
5. 試行導入
6. 効果測定(問題点の発掘・対策の実施)
7. 本格導入
あゆみ:えー!余計ハードル高いじゃない?
うちのお店でもここまでしなきゃいけないの?
ケン:すべてのプロセスを踏むのが理想的ですが、総務・経理・人事や情報部門から導入を考えてみて、そこでどのように進めればテレワークをスムーズに導入できるかを検討してみるといいと思います。
あゆみ:じゃ、実際どうすればいいかもっと具体的に話してくれる?
ケン:それは次回のお楽しみということで…。