買手による適格請求書の修正
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リエ「黒田さん、適格請求書の件で質問してもいいですか?」
黒田「はい、リエちゃん。何かありましたか?」
リエ「先日、取引先への訪問時にお渡しする手土産でお菓子を購入したんですけど、その時もらった領収書に登録番号の記載はあったんですが、軽減税率対象品目である旨の記載がなかったんです。適格請求書に記載間違いなどの不備があると、仕入税額控除を受けられないんですよね。またお店まで行って領収書を再発行してもらうのは大変なので、こちらで修正しちゃダメですか?」
黒田「適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した適格請求書発行事業者は、これらの書類の記載事項に誤りがあった場合には、これらの書類を交付した他の事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければならないこととされており(消法57の4④)、買手が追記や修正を行うことは原則的には認められていません。」
リエ「やっぱりダメですよね……。」
黒田「インボイス制度に関しては、国税庁のホームページで『お問い合わせが多いご質問』が随時更新されています。実は、令和5年11月13日更新分で買手が適格請求書を修正することが認められるケースが公表されました。それによりますと、『受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、当該書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えありません』と記載されています。」
リエ「こちらで適格請求書を修正しても、売手側にその修正内容の確認を受ければいいんですね。売手側から修正した適格請求書を発行し直してもらう手間がなくなるので、実務的にはかなり楽になりますね。」
黒田「そうですね。ちなみに売手側は、この修正方法であれば適格請求書の再発行をする必要はありませんが、当初交付した適格請求書の写しを保存しなければなりません。また、売手側が売上税額の積上げ計算を行う場合には、確認を行った仕入明細書等を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存する必要がある点に留意が必要です。」
リエ「はい、わかりました。では先日受け取った領収書はこちらで修正して、お菓子を購入したお店に修正内容を連絡しますね。」