生計を一にしない親族への給与

リエ「黒田さんこんにちは。一つ質問しても良いでしょうか?」
黒田「はい。もちろんです。」
リエ「私の親戚が個人事業主として飲食店を経営しているのですが、もう独立して別生計のお子さんがいるんです。そのお子さんに飲食店を少し手伝ってもらいたいとのことなのですが、その場合に支払われる給与の扱いが分からなくて……。その親戚は青色申告の届け出を提出していますが、お子さんの青色事業専従者給与の届け出を提出していないですし、そもそもお子さんは青色事業専従者の要件である“専ら事業に従事している者”を満たしません。このような場合には、お子さんに支払われる給与は必要経費にできないのでしょうか?」
黒田「リエちゃんが仰るように、青色事業専従者給与の要件の一つに、“その年を通じて6ヵ月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること”があります。これを満たさなければ確かに青色事業専従者とはならず、その同一生計親族に支払われる給与は必要経費となりません。」
リエ「やはり必要経費にはできなさそうですね。」
黒田「いえ。そんなことはありませんよ。まず生計を一にしている親族へ支払われる給与は原則として必要経費にできないという大前提があって、例外的に青色事業専従者の届け出を提出し、かつ要件を満たす親族に支払われるものを必要経費に算入して良い、という考え方なんです。つまり、このお話はそもそも生計を一にしている親族のお話です。生計を一にしていない別生計の親族への給与は他人である従業員に支払われる給与と同様に必要経費に算入できますよ。」
リエ「そうなんですね。“生計を一にする”かどうかによって必要経費の考え方が違ってくるのですね。」
黒田「はい。ただ、別生計の親族への給与だからといって社会通念上不相当に高額な給与まで認められませんから注意してくださいね。」
リエ「はい分かりました。ありがとうございました。」