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違法行為にならないために。知っておきたい禁止事項

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企業版ふるさと納税では、地域再生法(平成17年法律第24号)において、地方公共団体が寄付を行う法人に対し、その代償として経済的な利益を供与することが禁止されています。実際にどのような行為が禁止されているかについては、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A(第13版)<事業実施・実施状況報告編>」に詳しく紹介されています。今回は、どのような行為が禁止されており、どのような行為なら許容されるのかを、少し詳しく見ていきたいと思います。

禁止される具体例

「寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」についての解説
によると、寄附の代償(見返り)として禁止される事例を次のように説明しています。

・寄附を理由とした補助金の交付
・寄附を理由とした、他の法人の場合より低い金利での貸付け
・入札や許認可での便宜の供与
・合理的な理由なく、市場価格より低い価格で財産を譲渡すること
・寄附を理由とした換金性の高い商品(商品券やプリペイドカード等)の提供
・寄附を行うことを、公共事業の入札参加要件とすること
・寄附を活用して整備した施設を専属的に利用させること
・合理的な理由なく、他の利用者より低廉な料金で公共施設を利用させること

許容される具体例

一方で、次のような行為は寄附の代償(見返り)には該当せず、許容される事例として挙げられています。

・寄附を行った法人に対し、感謝状やこれに類するものを贈呈すること
・地方公共団体のHPや広報誌等において、寄附を活用して実施している事業の紹介に併せて、寄附を行った法人の名称を他の寄附者と並べて紹介すること
・寄附を活用して整備した施設等に銘板等を設置し、寄附を行った法人の名称を他の寄附者と並べて列挙すること
・社会通念上許容される範囲内で記念品やこれに類するものを贈呈すること

寄付を検討している企業に向けた一問一答式の解説

2022年6月には、経済的利益供与の禁止につき、一問一答式での解説が公開されました。この狙いは、制度上の禁止事項に該当するリスクを恐れて、企業が寄付を見送ってしまう事例を減らすことにあります。

Q&Aの例をいくつか見ていきましょう。

Q 過去に契約関係にあった地方公共団体や、現に契約関係にある地方公共団体に対し、寄付を行うことができますか?
A 原則として寄付の代償として経済的な利益が供与されることには該当しないことから、寄付を行うことができます。

Q 寄付を行った地方公共団体から工事の受注などを行うことは、禁止されている寄付の見返りに当たりませんか?
A 競争入札によるか随意契約によるかにかかわらず、次の条件を満たしていれば経済的利益供与に当たりません。
① 条例・規則などを含む法令を遵守すること
② 手続きにおいて、寄付を行った法人への便宜の供与など、寄付の受領を理由にほかの法人との間で別異に取り扱うことがないようにすること
③ 手続きの公正性・透明性などに係る説明責任を充分に果たすこと

ほかにも、寄付により整備された施設利用についての質問や、寄付により整備された競技場のネーミングライツ契約などについても説明されています。

禁止されている行為に当たるかどうかの判断につき民間視点で解釈を加えるならば、「寄付」と「経済的な便益の供与」という2つの行為が、相互に必然性を伴っていなければ制度上は問題ないといえます。例えば、すでに契約関係のある企業からの寄付は問題ありません。また、寄付後に関しても、公平な公募形式を踏んでいれば問題ありません。

「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A(第13版)<事業実施・実施状況報告編>」

「寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」についての解説

冒頭で紹介した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A(第13版)<事業実施・実施状況報告編>」で述べられている「寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」ついては、下記サイトでも解説しています。寄付を検討する際には、ぜひ参考にしてみてください。

経済的利益の供与についての考え方

経済的利益の供与における禁止例

経済的利益の供与における許容例

経済的利益の供与についての考え方(契約関連)

経済的利益の供与についての考え方(ネーミングライツ)

経済的利益の供与についての考え方(施設等の利用)



執筆者情報

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小坪 拓也

企業版ふるさと納税コンサルタント/river認定講師

2018年12月に企業版ふるさと納税制度に出会い、制度の研究・啓発と事業検討を行ってまいりました。
【以下、略歴】
2019年9月:企業版ふるさと納税コンサルタントとして活動開始
2020年4月:企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォームriverをサービスリリース
2021年5月:奈良県企業版ふるさと納税連絡協議会のアドバイザーに就任
2022年9月:経済産業省 大臣官房臨時専門アドバイザーとして官民連携の取組みを開始

2022年12月20日時点で121の自治体と契約を有し、全国の連携企業と共に地域を元気にするための活動を実践中。

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2023.02.16 16:27:22