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令和4年分の確定申告の注意点

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確定申告しなければならない人

あゆみ:確定申告の時期になったわね。

ケン:毎年、個人の方で確定申告が必要な方にとっては大変な時期になります。

あゆみ:ところで、私は確定申告って必要ないわよね?

ケン:基本的には必要ないと思います。
   給与所得者の方は、副収入がある場合には、その収入金額から必要経費を差し引いた金額が20万円を超えなければ確定申告は必要ありません。 
   あゆみ社長は、インターネットのフリーマーケットのサイトなどで売却収入があったりしますか?

あゆみ:いらないものを売ることはあるけど、年に数回だし、送料や登録料を差し引いても20万円を超えることはないわ。

ケン:それであれば、確定申告をする義務はありませんね。
   その年中にインターネットのサイトで売却したものについては、申告が漏れていると国税庁のホームページでも注意喚起がされています。

あゆみ:確定申告をしなければならない人ってどんな人なの?

ケン:主につぎに該当する方です。
   (1) 給与の収入金額が2,000万円を超える
   (2) 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える
   (3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、退職所得以外の所得との合計額が20万円を超える
     ※給与所得の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除以外の所得控除の合計額を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。
   (4) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた

副収入は事業所得?雑所得?

あゆみ:ところで、私の副収入が20万円を超えた場合ってどうやって申告しなければならないの?

ケン:これは今までは事業所得か雑所得かという明確な基準はありませんでした。
   そこで、昨年、国税庁はこの部分について300万円以下は雑所得でそれ以上は事業所得とするのはいかがか、とパブリックコメントを求めたところ、反対意見が殺到しました。これは、雑所得の場合には、青色申告特別控除がないことと、給与所得との損益通算がないため、税負担が増える可能性があることから反対意見が殺到したものと思われます。
   このため、国税庁では記帳された帳簿書類を保存している場合には、事業所得と認めるとされました。

あゆみ:つまり、現金出納帳などを用意して、それに日々記録するってことね。

ケン:おっしゃる通りです。
   そのような帳簿を用意することで、事業所得として申告することができます。
   ただし、
   ①事業所得の収入金額が給与の金額と比較して著しく低い場合
   ②赤字が3年以上継続している場合
   など、事業として認められない場合もありますので注意が必要です。

あゆみ:あからさまに確定申告をして還付を受けることが問題だってニュースが前にあったわよね?

確定申告のその他の注意点

あゆみ:確定申告でその他の注意点は?

ケン:いろいろありますが・・・。
   まずは、生命保険の保険金や競馬などの公営競技の払戻金の申告もれがあるそうです。
   また、外国の資産に関するものの申告漏れが多いとのことです。
   外国の銀行や証券会社などの口座に振り込まれている利息や配当、株式の売却による収益など、忘れずに申告してください。

あゆみ:申告書の計算で間違いが多いところってどの部分?

ケン:申告書上の誤りは、
   ①医療費控除については、薬局での日用品の購入を医療費控除の対象にしている方がいるそうです。また、医療保険金や高額療養費、出産一時金などは対象となる医療費から控除することになっています。
   ②ふるさと納税について寄付金控除として確定申告する場合には、ワンストップ納税の申請をしたところも含めてすべての申告をする必要があります
   ③寡婦控除やひとり親控除の適用漏れがあるとのことです。
   ④合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除若しくは配偶者特別控除の適用はありません。また、配偶者控除と配偶者特別控除の併用適用もできません。
   ⑤復興特別所得税の記載漏れ。
   ⑥予定納税の記載漏れ。
   などです。

あゆみ:けっこうあるものね。

ケン:国税庁のホームページに確定申告書作成コーナーがあります。これを利用すると誤りが劇的になくなると思います。
   パソコンやスマートフォンがあれば、どなたでも利用できますので、ご利用の上、正しい申告をしてください。

執筆者情報

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清水 透

清水透税理士事務所 所長 税理士(登録番号104689)

平成18年2月税理士登録
大手税理士事務所に勤務しつつ、平成25年4月~平成28年1月の間みずほ銀行に出向。
平成28年2月独立開業
法人税・消費税・所得税・相続税の申告業務の中でも、法人オーナーに対する相続税約1億円を節税する株式承継の提案や個人の不動産オーナーに対する相続税約5,000万円を節税する提案などの経験。
また税制改正や事業承継の全国でのセミナー、全国のお客様に対し法人の株式承継対策や個人の方々の相続税対策の提案に毎日奔走中。
「気がつけばあなたも相続税?」2011.9(共著)出版
協力:株式会社実務経営サービス
https://www.jkeiei.co.jp/

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あゆみ:確定申告の時期になったわね。ケン:毎年、個人の方で確定申告が必要な方にとっては大変な時期になります。あゆみ:ところで、私は確定申告って必要ないわよね?ケン:基本的には必要ないと思います。   給与所得者の方は、副収入がある場合には、その収入金額から必要経費を差し引いた金額が20万円を超えなければ確定申告は必要ありません。    あゆみ社長は、インターネットのフリーマーケットのサイトなどで売却収入があったりしますか?あゆみ:いらないものを売ることはあるけど、年に数回だし、送料や登録料を差し引いても20万円を超えることはないわ。ケン:それであれば、確定申告をする義務はありませんね。   その年中にインターネットのサイトで売却したものについては、申告が漏れていると国税庁のホームページでも注意喚起がされています。あゆみ:確定申告をしなければならない人ってどんな人なの?ケン:主につぎに該当する方です。   (1) 給与の収入金額が2,000万円を超える   (2) 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える   (3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、退職所得以外の所得との合計額が20万円を超える     ※給与所得の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除以外の所得控除の合計額を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに給与所得、退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。   (4) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
2023.02.14 15:50:48