新型コロナ感染症対策に係る特別利子補給の益金算入時期は
リエ「黒田さん、ちょっと質問してもいいですか?」
黒田「はい、リエちゃん。何かありましたか?」
リエ「先々月に、日本政策金融公庫の『新型コロナウイルス感染症特別貸付』による融資を受けました。その後『特別利子補給制度』の申請を行って、先日、利子補給金の交付を受けたんですけど、この利子補給金は全額、当該事業年度の益金計上になるんですか?」
黒田「法人税の所得金額の計算上、ある収入の益金計上時期については、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度に益金計上となります。通常の利子補給金でしたら、交付決定日の属する事業年度に全額益金計上となりますが、今回の特別利子補給制度は、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行、沖縄振興開発金融公庫の『新型コロナウイルス感染症特別貸付』・『危機対応業務(危機対応融資)』等の特別利子補給の対象となる貸付により借入を行った方のうち、一定の要件を満たす方に対し、貸し付けた日から最長3年間にあたる利子相当額を一括で助成する制度です。」
リエ「今回交付を受けた利子補給金は3年分の借入利子相当額なんですね。」
黒田「そうです。この利子補給金を利子の支払いに充てることで、最長3年間は実質的に無利子となることを目的として交付されています。しかし、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動する場合もあるため、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことになります。」
リエ「利子補給額が確定していないということは、まだ益金計上をしなくてもいいんですか?」
黒田「事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けていますが、交付を受けた時点では全額を益金に計上するのではなく、まず『前受金』として計上します。そのうえで各事業年度において実際に金融機関に支払った利子額の発生に合わせて、その支払利子と同額を『雑収入(利子補給分)』として益金計上し、『前受金』を取り崩していきます。つまり、当初の融資契約どおりであれば、3年分の利子補給額は3年間に亘って支払利子と相殺されて、損益は生じないことになります。」
リエ「なるほど、実際に支払った利子額を益金計上していくんですね。返済明細書で利子を確認します。有難うございました。」