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予定納税の減額申請について

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リエ「黒田さんこんにちは、こっそり教えてほしいことがあるのですがお時間よろしいでしょうか。」

黒田「リエちゃんこんにちは、どうしましたか。」

リエ「地元にお気に入りの居酒屋さんがあるのですが、そこの店主さんから相談されたことがあって。」

黒田「店主さんに相談をうけるなんて素敵な関係ですね。」

リエ「いつもは私が愚痴など聞いてもらっているんですよ。そこは個人事業主として経営しているのですが、深夜帯のお酒とおつまみで繁盛するお店なので、ここ数年まともに営業できていないって嘆いているんです。ただ昨年度は国や自治体からの休業補償等の助成金が沢山入ったので、久しぶりに納税したよ、なんて言っていました。それで、今年はまだ不安な情勢で客足もパラパラな状態なのですが、予定納税をしっかり納めたって言うんです。」

黒田「予定納税は多くの場合前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額になりますからね。予定納税基準額が15万円以上になる場合は6月15日までに予定納税額の通知が届くでしょう。納付期限は第1期が7月末、第2期が11月末ですね。」

リエ「そうですよね。店主さん、今年は業績が悪いままだし資金繰りも心配と思いつつも、納付書が来ちゃったからって無理して納税したみたいなんです。確定申告をすれば還付されるとは思うのですが、今年は業績が悪いと思うから、という予測で予定納税をパスするわけにはいかないのでしょうか。」

黒田「なるほど。では予定納税の減額申請を提出してみてはいかがでしょうか。」

リエ「減額申請ができるんですね。7月末までの第1期分は納税してあるので、第2期分だけでも申請できますか。」

黒田「第2期分のみの減額申請は10月末の現況から見積って、11月15日までに提出となります。電子申告も可能ですよ。」

リエ「何か特別な証明書が必要だとか、難しい手続きになりますか。」

黒田「『所得税及び復興特別所得税の予定納税の7月(11月)減額申請書』を作成します。減額申請の理由と、申告納税見積額の計算書を記載するものです。この申請書に申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類を添付して税務署に提出することになります。添付書類には決まった形式はありませんが、今回のケースであれば10月末時点の損益計算書が適当でしょう。」

リエ「『減額申請の理由』はどんなことを書けばいいのでしょうか。」

黒田「廃業や休業、突発的な事故であればその日付や事由を簡潔に記載します。今回の様に業績不振であれば、その理由を記載するとよいでしょう。コロナ禍の影響で売上が減少していること、給付金等を受け取っていたことなどで説明になると思います。」

リエ「ありがとうございます。10月になれば今年の業績も見えていると思いますし、減額申請をするようにお話してみます。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さんこんにちは、こっそり教えてほしいことがあるのですがお時間よろしいでしょうか。」黒田「リエちゃんこんにちは、どうしましたか。」リエ「地元にお気に入りの居酒屋さんがあるのですが、そこの店主さんから相談されたことがあって。」黒田「店主さんに相談をうけるなんて素敵な関係ですね。」リエ「いつもは私が愚痴など聞いてもらっているんですよ。そこは個人事業主として経営しているのですが、深夜帯のお酒とおつまみで繁盛するお店なので、ここ数年まともに営業できていないって嘆いているんです。ただ昨年度は国や自治体からの休業補償等の助成金が沢山入ったので、久しぶりに納税したよ、なんて言っていました。それで、今年はまだ不安な情勢で客足もパラパラな状態なのですが、予定納税をしっかり納めたって言うんです。」黒田「予定納税は多くの場合前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額になりますからね。予定納税基準額が15万円以上になる場合は6月15日までに予定納税額の通知が届くでしょう。納付期限は第1期が7月末、第2期が11月末ですね。」リエ「そうですよね。店主さん、今年は業績が悪いままだし資金繰りも心配と思いつつも、納付書が来ちゃったからって無理して納税したみたいなんです。確定申告をすれば還付されるとは思うのですが、今年は業績が悪いと思うから、という予測で予定納税をパスするわけにはいかないのでしょうか。」黒田「なるほど。では予定納税の減額申請を提出してみてはいかがでしょうか。」リエ「減額申請ができるんですね。7月末までの第1期分は納税してあるので、第2期分だけでも申請できますか。」黒田「第2期分のみの減額申請は10月末の現況から見積って、11月15日までに提出となります。電子申告も可能ですよ。」リエ「何か特別な証明書が必要だとか、難しい手続きになりますか。」黒田「『所得税及び復興特別所得税の予定納税の7月(11月)減額申請書』を作成します。減額申請の理由と、申告納税見積額の計算書を記載するものです。この申請書に申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類を添付して税務署に提出することになります。添付書類には決まった形式はありませんが、今回のケースであれば10月末時点の損益計算書が適当でしょう。」リエ「『減額申請の理由』はどんなことを書けばいいのでしょうか。」黒田「廃業や休業、突発的な事故であればその日付や事由を簡潔に記載します。今回の様に業績不振であれば、その理由を記載するとよいでしょう。コロナ禍の影響で売上が減少していること、給付金等を受け取っていたことなどで説明になると思います。」リエ「ありがとうございます。10月になれば今年の業績も見えていると思いますし、減額申請をするようにお話してみます。」
2022.08.01 16:48:19