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古い健康保険証を使ってしまったら

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今日は守田社労士の訪問日です。

リエ「守田先生、こんにちは。健康保険証のことでちょっと相談があるんですけど……。」

守田「どうされたのですか。」

リエ「少し前に中途入社した社員が、入社後、会社の保険証が届く前に、歯の治療のために以前の国保の保険証で受診してしまったらしいのです。最近になって市役所から返金を請求される書類が届いたことで気づいたようで、どうすればいいのか困っているんです。」

守田「うっかり、古い保険証を使用してしまったのですね。」

リエ「そのようです。すぐに知らせてくれれば別の対応もできたと思うのですが……。」

守田「そうですね。就職や退職、婚姻等で健康保険が変わるときには結構あることなのですが、医療機関は月末締めで処理することになっていますので、古い保険証を使用した日と同じ月内であれば、新しい保険証をその医療機関に提示することで切り替えてもらうことができます。これが一番簡単です。もし月が変わっていたとしても、早めの時期なら医療機関に相談してみることをお勧めします。」

リエ「私もいつもそのようにアドバイスしていましたが、今回のように返金の請求というケースは初めてなので、どうすればいいのかわからなくて……。」

守田「医療機関で支払うのは基本3割ですので、残りの7割分は健康保険の保険者や国保であれば市役所等が負担しています。市役所が負担している7割分、実際に支払った額の倍以上の請求が突然やってくるのですから驚きますよね。」

リエ「結局、医療費の10割、全額を自分で負担することになるのですか。」

守田「いえ、一旦その7割分を市役所に返金した後、本来負担すべき健康保険の保険者に、今度は自分で請求することになります。『療養費』って聞いたことはありますか。」

リエ「あっ、社員のお子さんの弱視用眼鏡の費用の請求で、以前に申請したことがあります。」

守田「そうですね。治療用の装具等は一旦立替払いをしてからの請求になりますし、旅先で急病にかかって保険証なしで自費診療を受けたときなども、療養費の請求を行います。」

リエ「具体的にはどうすればいいのですか。」

守田「はい、まずは市役所からの案内の通りに返金の手続きをお願いします。その際に大事なことは、返金の際の納付書等の控え、つまり返金した証明書をなくさないことです。療養費の請求時に原本を添付する必要がありますので。」

リエ「そうなんですね。気をつけるように言います。」

守田「返金後、市役所から『診療報酬明細書(レセプト)』というものが送られてきます。ここも大事なところですが、レセプトの入っている封筒はしっかりと封緘されているはずですので、開けないでくださいね。」

リエ「そういわれると開けてしまいそうで怖いですが……。」

守田「送付用の封筒とは別の封筒で、『開封しないでください』等の注意書きもあると思いますので、気をつけてください。このレセプト入りの封筒と返金時の納付書等の控え、どちらも原本を添付して、現在加入中の健康保険に療養費の支給申請書を提出することになります。時効があるので2年以内には手続きしてくださいね。」

リエ「わかりました。早めに対応するように伝えます。ありがとうございました。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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今日は守田社労士の訪問日です。リエ「守田先生、こんにちは。健康保険証のことでちょっと相談があるんですけど……。」守田「どうされたのですか。」リエ「少し前に中途入社した社員が、入社後、会社の保険証が届く前に、歯の治療のために以前の国保の保険証で受診してしまったらしいのです。最近になって市役所から返金を請求される書類が届いたことで気づいたようで、どうすればいいのか困っているんです。」守田「うっかり、古い保険証を使用してしまったのですね。」リエ「そのようです。すぐに知らせてくれれば別の対応もできたと思うのですが……。」守田「そうですね。就職や退職、婚姻等で健康保険が変わるときには結構あることなのですが、医療機関は月末締めで処理することになっていますので、古い保険証を使用した日と同じ月内であれば、新しい保険証をその医療機関に提示することで切り替えてもらうことができます。これが一番簡単です。もし月が変わっていたとしても、早めの時期なら医療機関に相談してみることをお勧めします。」リエ「私もいつもそのようにアドバイスしていましたが、今回のように返金の請求というケースは初めてなので、どうすればいいのかわからなくて……。」守田「医療機関で支払うのは基本3割ですので、残りの7割分は健康保険の保険者や国保であれば市役所等が負担しています。市役所が負担している7割分、実際に支払った額の倍以上の請求が突然やってくるのですから驚きますよね。」リエ「結局、医療費の10割、全額を自分で負担することになるのですか。」守田「いえ、一旦その7割分を市役所に返金した後、本来負担すべき健康保険の保険者に、今度は自分で請求することになります。『療養費』って聞いたことはありますか。」リエ「あっ、社員のお子さんの弱視用眼鏡の費用の請求で、以前に申請したことがあります。」守田「そうですね。治療用の装具等は一旦立替払いをしてからの請求になりますし、旅先で急病にかかって保険証なしで自費診療を受けたときなども、療養費の請求を行います。」リエ「具体的にはどうすればいいのですか。」守田「はい、まずは市役所からの案内の通りに返金の手続きをお願いします。その際に大事なことは、返金の際の納付書等の控え、つまり返金した証明書をなくさないことです。療養費の請求時に原本を添付する必要がありますので。」リエ「そうなんですね。気をつけるように言います。」守田「返金後、市役所から『診療報酬明細書(レセプト)』というものが送られてきます。ここも大事なところですが、レセプトの入っている封筒はしっかりと封緘されているはずですので、開けないでくださいね。」リエ「そういわれると開けてしまいそうで怖いですが……。」守田「送付用の封筒とは別の封筒で、『開封しないでください』等の注意書きもあると思いますので、気をつけてください。このレセプト入りの封筒と返金時の納付書等の控え、どちらも原本を添付して、現在加入中の健康保険に療養費の支給申請書を提出することになります。時効があるので2年以内には手続きしてくださいね。」リエ「わかりました。早めに対応するように伝えます。ありがとうございました。」
2022.07.25 15:59:02