同族会社の「みなし役員」の判断 経営に従事するとは?
Q、
売上も上がってきたので、家族を従業員にして給与を支払おうと思っています。顧問税理士からは、「みなし役員」にならないようにとの注意を受けました。「みなし役員」と判断される「経営に従事する」ということについて教えてください。
A、
ご質問者のように、従業員(使用人)としての立場で、給与を支払う会社は多いです。親族が従業員としての立場で勤務していれば、他の従業員と同様に給与はもちろん賞与も損金となるので節税となります。
一方、「みなし役員」とみなされれば、税務上は役員としての取扱いですから、仮に賞与を支給したとしても損金としては認められません。
法人税法上では、役員を、「商法上の取締役、監査役、理事、監事、精算人のほかに、みなし役員といって使用人以外のもので経営に従事している者、使用人だが特定株主として実質的に経営に従事している者」としています。
特定株主に該当するかどうかは、保有株式数等で判定できるのですが、「経営に従事している」という判断基準は、法令上に明確な基準はもうけられていないので、事実認定の問題となり、税務調査でもポイントになります。
課税当局では、法人において実際にどのような仕事を行っているかにより判断します。ここで指摘されるのが、事業運営上の重要事項に参画している(経営に従事している)です。
次の事項が、重要事項と考えられます。税務調査ではこれを踏まえて対応して下さい。
イ 経営方針の決定
ロ 主要取引先の選定・重要な契約に関する決定
ハ 借入の計画・実行
二 従業員の採用
ホ 資金繰りの決定
へ 従業員賞与の査定
ト 従業員の労務管理
チ 事務所等の移転・組織変更などの重要事項の決定
従って、単に売掛・買掛等の入力、請求書の発行、給与計算等の事務を行っているのみでは、経営に従事しているとは考えられません。
また、取締役会に参加していれば「事業運営上の重要事項に参画」と判断される可能性が高くなります。