暦年贈与の持ち戻しについて
Q、
高い確率で相続税の税務調査が実施されると聞きますが、亡くなる前3年以内におこなわれた生前贈与は細かくチェックされると聞きます。相続発生直前の生前贈与における「持ち戻し」について詳しく教えてください。
A、
生前贈与の持ち戻し計上の対象となるものには、暦年贈与による相続開始前3年以内の贈与と相続時精算課税制度適用による贈与があります。
相続開始前3年以内の贈与については受贈者自身の記憶に残っていたり、当時の申告書類が保管されていることがほとんどですので、申告漏れはあまりありませんが相続時精算課税は、制度創設から17年、適用を選択した方の中には既に忘れてしまっていたり、当時の申告書類を紛失したために適用金額が把握できないこともあります。
また、たとえ暦年贈与であっても相続人間の仲が良好でないような場合には他の相続人が過去に生前贈与を受けていたか否かの確認が困難な場合もありますし、相続人が高齢な場合には忘れてしまっていることがあります。
相続争いなどで相続または遺贈によって財産を取得した他の者(他の共同相続人等という)が生前に贈与を受けた財産が把握できないと相続税の計算ができません。
このような状況で、相続税申告書を作成すると税務調査リスクが非常に高くなります。なぜなら、税務署側には過去の贈与申告書類が保管されていますので、相続税申告書に過去の生前贈与の計上もれがないかの確認ができてしまいます。