令和4年から住宅取得等資金の贈与税の非課税はどうなった?
住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例
あゆみ:あのね、私の妹が自宅を購入するんだけど、一部親から援助してもらうんだって。
何か贈与税の特例があるって聞いたんだけど。
ケン:はい、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例の規定はありますが、令和4年分から一部改正されています。
あゆみ:今年からはどうなってるの?
ケン:令和5年12月31日までの期限になりますが、
省エネ住宅等の場合には1,000万円、それ以外の住宅については500万円までの部分について贈与税が非課税となっています。
あゆみ:ちなみに去年まではいくらが非課税だったの?
ケン:建物の消費税が10%の場合には、
省エネ住宅等の場合には1,500万円、それ以外の住宅については1,000万円となっていました。
また、建物の消費税が8%だった場合には、今年と同じで
省エネ住宅等の場合には1,000万円、それ以外の住宅については500万円となっていました。
あゆみ:省エネ住宅等ってどういう住宅?
ケン:断熱効果がある住宅や、耐震建築物である住宅、バリアフリー設備がある住宅などを言います。
いずれも、評価センターや各検査機関等に証明書発行を申請すると、住宅性能証明書など贈与税の申告書に添付しなければならない証明書が発行されます。
住宅取得資金の贈与税の非課税の特例の適用要件
あゆみ:この特例を受けるための要件は何?
ケン:要件は、贈与を受ける人の要件と住宅の要件があります。
贈与を受ける人の要件は8つあります。
①贈与を受けた人は、贈与をした人の子、孫、ひ孫・・・であること
②贈与を受けた人は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること。
ただし、令和4年3月31日以前の贈与の場合は、成人年齢改正前の関係で20歳以上であることとなっています。
③贈与を受けた年の年分の収入から経費を引いた所得金額が2,000万円以下であることですが、住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合には、1,000万円以下であることが要件です。
④平成21年分から令和3年分までで「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」の規定の適用を受けたことがないこと
⑤配偶者や親族などからの住宅の取得ではないこと
⑥贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた金額を充てて住宅を取得すること
⑦贈与を受けたときに日本に住所を有し、日本国籍を有していること
⑧贈与を受けた年の翌年3月15日までにその取得した住宅に住むこと又は3月15日以降であっても遅滞なく住むことが確実なこと
贈与を受ける人の要件については、成人年齢以外は変更ありません。
あゆみ;住宅の要件は?
ケン: 住宅の要件は2つです。
①日本国内にある住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の1/2以上が住まい用であること
②次のいずれかに該当すること
(イ)未使用の建物
(ロ)昭和57年1月1日以降建築された使用済み建物
(ハ)耐震証明がされた使用済み建物
(ニ)耐震改修により耐震基準に適合する建物
住宅取得資金の贈与税の非課税の特例の申告手続き
あゆみ:これって非課税の枠内だと税金納めなくていいと思うけど、申告書は提出するの?
ケン:はい、非課税の適用を受ける場合には申告書の提出が必要です。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税申告書に一定の添付書類を添えて贈与を受けた人の住所を所轄する税務署に提出します。
あゆみ:この制度は110万円の基礎控除は適用できるんだよね?
ケン:はい、暦年課税の場合には基礎控除110万円ありますので、省エネ住宅等を取得する場合、1,110万円の住宅取得資金の贈与については、贈与税の申告手続きを正確に行えば贈与税はかかりません。
住宅ローン控除の併用の可否
あゆみ:そういえばね、妹は贈与で足りない部分は住宅ローンで賄うって言ってた。
ケン:基本的には贈与税の非課税の特例と住宅ローン控除の両方適用できるのですが、住宅ローン控除に限度がありまして、建物の取得価額から贈与税の非課税の特例を適用した金額を控除した金額が限度となります。
住宅ローンの年末残高がその控除した金額よりも多い場合には、その多い部分については、住宅ローン控除の適用がありません。
あゆみ:わかったわ。住宅ローン控除も限度があるけど適用できるって伝えておく。
住宅取得等資金の贈与税の非課税を適用する上での注意点
あゆみ:他に注意することある?
ケン:そうですね。住宅取得資金の贈与税の非課税の規定は、順番が重要です。
購入資金の支払いをした後で贈与を受けた場合には、一般の贈与として扱われます。
ですから、贈与を受けてから購入資金の支払いをするようにしてください。
あゆみ:そういうところも注意しなきゃいけないのね。
ケン:はい、有効にこれらの規定を適用頂ければと思います。