成人年齢引き下げの税制への影響
成人年齢引き下げに伴う住民税の改正
あゆみ:この4月から成人年齢が引き下げられたじゃない?
うちの子今高校3年生だから誕生日が来ると18歳になるの?
何か変わることあるの?
ケン:そんない大きいお子様がいらっしゃったんですね。
そうなんです、4月から成人年齢が18歳に引き下げられ、税金においても今まで20歳以上とか20歳までなどという規定が18歳に変わっています。
あゆみ: 例えば?
ケン:まず、身近なところでは住民税ですね。
住民税の非課税の条件に未成年者とあるのですが、これが20歳から18歳になりました。
したがって、18歳から前年のアルバイトなどの収入が135万円を超えると住民税がかかることとなります。
あゆみ:アルバイトで135万円を超えるって結構ありそうだよね。
成人年齢の18歳引き下げに伴う贈与税の改正
あゆみ: その他には何かある?
ケン:あゆみ社長にはあまり関係ないかもしれませんが、相続税・贈与税関係で何点かあります。
贈与税において、「その年の1月1日において20歳以上」という規定が「その年の
1月1日において18歳以上」と改正されたものがあります。
あゆみ;それはどういう規定?
ケン:次の4つの規定です。
・相続時精算課税(2,500万円まで)
・住宅取得資金の贈与税の非課税
・特例贈与の税率
・相続時精算課税適用者の特例
あゆみ:相続時精算課税は聞いたことがあるけど、相続時精算課税適用者の特例って何?
ケン: 相続時精算課税制度は、子供である受贈者が20歳以上、直系尊属である贈与者が60歳以上という要件がありますが、住宅取得資金の贈与の場合には、贈与者が60歳以下でも適用できるものです。
今回の改正で一般的な相続時精算課税を含めて受贈者がその年の1月1日において18歳以上であればいいこととされました。
あゆみ:そういう制度なのね。住宅取得資金の非課税と混同しちゃうわね。
ケン:そうですね。住宅取得資金を贈与するときはお申し付けください。どの制度を適用するのが有利か判断いたします。
あゆみ:今の4つの規定は「その年の1月1日において20歳以上」が18歳になったんでしょ?
たしか、「贈与の時に20歳以上」って要件のものがなかった?
ケン: さすが、あゆみ社長、鋭いですね。
・事業承継税制
・結婚・子育て資金の非課税制度
です。
贈与した場合の事業承継税制については、要件が「贈与の時において20歳以上」となっていましたが、これが「贈与の時において18歳以上」となりました。
また、結婚・子育て資金の非課税制度においても、「資金管理契約締結の日において20歳以上50歳未満」という要件が「資金管理契約締結の日において18歳以上50歳未満」となりました。
成人年齢の18歳引き下げに伴う相続税の改正
あゆみ:相続税では何か該当するものがなかった?
ケン:相続税では未成年者控除の規定が「相続等の日において20歳未満」となってたところ、「相続等の日において18歳未満」となりました。
この場合、未成年者控除の金額について、今では
10万円×「20歳になるまでの年数」
という計算式で算出していましたが、
10万円×「18歳になるまでの年数」
という計算式に変わります。
適用年月日
あゆみ:成人年齢の18歳への引き下げって4月からじゃない。
今話してくれた規定も4月から変わるの?
ケン: 仰る通りです。
令和4年4月1日以後の贈与や相続から摘要されます。
したがって、令和4年3月に18歳の人に贈与をした場合には、相続時精算課税制度は適用されませんので、暦年課税の一般贈与の税率で贈与税を計算することになります。
あゆみ:今年の贈与は気を付けないといけないわね。
ケン:そうですね。年末に贈与をする方が多いかと思いますので、その場合は成人年齢引き
下げ後の要件を確認していただければよろしいかと思います。