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NPO 法人の税務

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1.NPO 法人の法人税

 NPO 法人は収益事業課税であるため、法人税法上の収益事業を行っている場合は法人税申告が必要となり、地方税である法人事業税及び法人住民税の申告も必要となります。法人税法上の収益事業を行っていない場合は、法人税申告が不要となり、地方税である法人事業税及び法人住民税の法人税割も課税されません。
 なお、法人税申告が不要な場合であっても、法人住民税均等割については、申告・納税が必要となりますが、法人税法上の収益事業を行っていないNPO 法人の場合、自治体によっては減免申請を行うことで、当該均等割が減免されるケースもあります。
 また、認定NPO 法人の場合、みなし寄附金を適用することができます。みなし寄附金とは、収益事業に属する資産のうちから、その収益事業以外の事業で特定非営利活動に係る事業に該当するもののために支出した金額を、その収益事業に係る寄附金とみなす制度のことです。当該みなし寄附金の損金算入限度額は、所得金額の50%又は200万円のいずれか多い額までとなります。

2.NPO 法人の消費税

 NPO 法人が消費税を一般課税で計算する場合において、特定収入割合が5 %超となるときは、特定収入に係る課税仕入れを調整計算する必要があります。

3.NPO 法人の寄附に関する税務

① NPO 法人側

 NPO 法人は収益事業課税であるため、受取寄附に対して法人税は課税されません。また、寄附は対価性がないため、消費税も課税されません。なお、消費税に関しては、金銭等による収入の場合、特定収入となります。
 また、NPO 法人は持分の定めのない法人であるため、個人からの寄附に関して、相続税・贈与税の租税回避防止規定の適用があります。そのため、当該寄附によって、寄附した者の親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、NPO 法人を個人とみなして相続税・贈与税が課税されます(相法66④)。

【NPO法人が寄附を受けた際の税務上の取扱い】

税 目 税務上の取扱い
法人税 課税されません。
消費税 課税されません。
相続税・贈与税 個人からの寄附に関しては、寄附した者の親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、NPO法人を個人とみなして相続税・贈与税が課税されます。

② 寄附側

 NPO 法人の場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得の非課税措置を適用することができますが、それ以外の優遇措置は特にありません。
 他方、特例認定NPO 法人や認定NPO 法人になると、寄附金優遇が認められることになります。法人の場合は、特定公益増進法人に対する損金算入限度額が認められ、個人の場合は、寄附の所得控除又は税額控除を適用することができます。
 また、特例認定NPO 法人や認定NPO 法人の場合、譲渡所得の非課税措置に関して、一般特例だけでなく、承認特例も適用することが可能となります。
 さらに、認定NPO 法人に関しては、相続した財産を寄附した場合における相続税の非課税措置も適用することができます(措法70⑩)。

【寄附者の税務上の取扱い】

寄附者 税 制 NPO 法人 特例認定 NPO 法人 認定NPO 法人
法 人 損金算入限度額 一般寄附金 一般寄附金とは別に特別損金算入限度額
が認められます。
個 人 所得控除又は
税額控除
適用できます。
譲渡所得の
非課税措置
(一般特例)
一定の要件を満たせば適用できます。
譲渡所得の
非課税措置
(承認特例)
一定の要件を満たせば適用できます。
相続税の
非課税措置
一定の要件を満たせば
適用できます。

※本書の内容は、令和3 年3 月1 日現在の法令等によっています。



資料提供(書誌出典)

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書名:非営利団体における組織変更の手続と税務

発行日:2021年4月30日
発行元:株式会社 清文社
規格:A5判224頁
著者:岡部正義

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 NPO 法人は収益事業課税であるため、法人税法上の収益事業を行っている場合は法人税申告が必要となり、地方税である法人事業税及び法人住民税の申告も必要となります。法人税法上の収益事業を行っていない場合は、法人税申告が不要となり、地方税である法人事業税及び法人住民税の法人税割も課税されません。 なお、法人税申告が不要な場合であっても、法人住民税均等割については、申告・納税が必要となりますが、法人税法上の収益事業を行っていないNPO 法人の場合、自治体によっては減免申請を行うことで、当該均等割が減免されるケースもあります。 また、認定NPO 法人の場合、みなし寄附金を適用することができます。みなし寄附金とは、収益事業に属する資産のうちから、その収益事業以外の事業で特定非営利活動に係る事業に該当するもののために支出した金額を、その収益事業に係る寄附金とみなす制度のことです。当該みなし寄附金の損金算入限度額は、所得金額の50%又は200万円のいずれか多い額までとなります。
2022.03.28 17:00:48