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パワーハラスメント防止措置の義務化(中小企業)

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今日は守田社労士の訪問日です。

リエ「守田先生、こんにちは。早いもので今年も新年度が近づいてきましたね。何か注意することはありますか。」

守田「そうですね、この4月からパワーハラスメント防止措置が中小企業でも義務化となりますので、その確認をしましょうか。」

リエ「お願いします。」

守田「まず、職場における『パワーハラスメント』の定義は、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるもの、とされています。そして、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しないこととなっています。」

リエ「聞いてみると当たり前のことですよね。」

守田「そうなんです。ただ、パワハラをしている本人が該当していないと思っていることも多いので、そのあたりの教育が難しいところです。そして、①の優越的な関係というのは、上司から部下へだけではなく、部下から上司へ、同僚から同僚へと、あらゆる人間関係が対象になることも忘れないでください。」

リエ「パワハラと言えば上司から部下へと思ってましたけど、そうでもないんですね。」

守田「そして、職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の6つの類型というものがあります。①身体的な攻撃、②精神的な攻撃、③人間関係からの切り離し、④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害、以上ですが、個々の事案について総合的に判断するので、この6つの類型に当てはまらなくても認定されることはあるようです。」

リエ「聞いているだけでも嫌な気持ちになりますね。」

守田「そうですね。パワハラは直接受ける本人だけでなく、周りの人への影響も大きいので、早期に察知して対処することがとても大切です。そこで、今回義務化となる『パワーハラスメント防止措置』についてです。」

リエ「会社が取り組まなければいけないことですね。」

守田「そういうことです。職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置として、4つの項目に分かれていますが全部で10の取組みが掲げられています。」

リエ「10個もあるのですね。覚えられるかしら……。」

守田「後で資料をお渡ししますので、今は聞いておいてください。まず、1つ目の項目『事業主の方針等の周知・啓発』として、①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること、②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること。次は、2つ目の項目『相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備』として、③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること、④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること。そして、3つ目の項目『職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応』として、⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること、⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと、⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと、⑧再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)。最後に、4つ目の項目『併せて講ずべき措置』として、⑨相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること、⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。以上、10の取組みになります。」

リエ「相談窓口を決めたり、規則を修正したり、意外と対応できているような気がします。」

守田「中小企業は努力義務でしたが、令和2年6月1日に施行された際に、できることはやってくださいと資料をお渡した記憶がありますから、しっかり対応して頂いたのですね。パワハラ以外のハラスメントについても同様に取り組める体制を今後もお願いします。」

リエ「わかりました。今のところ問題はないと思いますが、油断しないように頑張ります。今日はありがとうございました。」

リーフレット「令和4年4月1日より「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!」について

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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今日は守田社労士の訪問日です。リエ「守田先生、こんにちは。早いもので今年も新年度が近づいてきましたね。何か注意することはありますか。」守田「そうですね、この4月からパワーハラスメント防止措置が中小企業でも義務化となりますので、その確認をしましょうか。」リエ「お願いします。」守田「まず、職場における『パワーハラスメント』の定義は、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるもの、とされています。そして、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しないこととなっています。」リエ「聞いてみると当たり前のことですよね。」守田「そうなんです。ただ、パワハラをしている本人が該当していないと思っていることも多いので、そのあたりの教育が難しいところです。そして、①の優越的な関係というのは、上司から部下へだけではなく、部下から上司へ、同僚から同僚へと、あらゆる人間関係が対象になることも忘れないでください。」リエ「パワハラと言えば上司から部下へと思ってましたけど、そうでもないんですね。」守田「そして、職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の6つの類型というものがあります。①身体的な攻撃、②精神的な攻撃、③人間関係からの切り離し、④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害、以上ですが、個々の事案について総合的に判断するので、この6つの類型に当てはまらなくても認定されることはあるようです。」リエ「聞いているだけでも嫌な気持ちになりますね。」守田「そうですね。パワハラは直接受ける本人だけでなく、周りの人への影響も大きいので、早期に察知して対処することがとても大切です。そこで、今回義務化となる『パワーハラスメント防止措置』についてです。」リエ「会社が取り組まなければいけないことですね。」守田「そういうことです。職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置として、4つの項目に分かれていますが全部で10の取組みが掲げられています。」リエ「10個もあるのですね。覚えられるかしら……。」守田「後で資料をお渡ししますので、今は聞いておいてください。まず、1つ目の項目『事業主の方針等の周知・啓発』として、①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること、②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること。次は、2つ目の項目『相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備』として、③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること、④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること。そして、3つ目の項目『職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応』として、⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること、⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと、⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと、⑧再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)。最後に、4つ目の項目『併せて講ずべき措置』として、⑨相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること、⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。以上、10の取組みになります。」リエ「相談窓口を決めたり、規則を修正したり、意外と対応できているような気がします。」守田「中小企業は努力義務でしたが、令和2年6月1日に施行された際に、できることはやってくださいと資料をお渡した記憶がありますから、しっかり対応して頂いたのですね。パワハラ以外のハラスメントについても同様に取り組める体制を今後もお願いします。」リエ「わかりました。今のところ問題はないと思いますが、油断しないように頑張ります。今日はありがとうございました。」
2022.03.18 16:49:18