HOME コラム一覧 死亡退職金は相続税の対象になるか?

死亡退職金は相続税の対象になるか?

post_visual

リエ「黒田さん、ちょっと質問してもいいですか?」

黒田「はい、リエちゃん。何かありましたか?」

リエ「実は去年、私の親戚が交通事故で亡くなったんです。それで先日、親戚の勤務先から死亡退職金が支給されたと聞いたんですが、この死亡退職金は相続税の対象になるんですか?」

黒田「お身内にご不幸があったんですね。心よりお悔やみ申し上げます。死亡退職金ですが、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は『みなし相続財産』として相続税の課税対象となります。3年以内に支給が確定したものとは、①死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの、 ②生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したものをいいます。ちなみに被相続人の死亡後3年を経過した後に確定した退職金は相続税ではなく、受取人の『一時所得』として所得税の課税対象となります。」

リエ「私の親戚の場合、死亡後3年以内に支給されているので相続税の対象になりますね。相続税がどれくらいかかるか気になります。」

黒田「死亡退職金は、その全額が相続税の対象となるわけではありません。全ての相続人が受け取った死亡退職金の合計額が非課税限度額以下のときは課税されません。非課税限度額の計算は、『500万円×法定相続人の数=非課税限度額』となります。法定相続人の数ですが、相続を放棄した人がいても相続人の数に含めます。あと、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。ちなみに、相続人以外の人が死亡退職金を受け取った場合は、非課税限度額の適用はありません。」

リエ「私の親戚の場合、法定相続人は3人なので1500万円が非課税限度額になるということですね。」

黒田「その通りです。ちなみに被相続人の勤務先から死亡退職金の他に弔慰金の支給はありましたか?」

リエ「確認しないとわからないですけど、もし弔慰金が支給されていた場合も相続税の課税対象になるんですか?」

黒田「弔慰金は通常相続税の課税対象になることはありません。しかし、限度範囲を超える弔慰金は死亡退職金として相続税の課税対象となります。被相続人の死亡が業務上の死亡でないときは、被相続人の死亡当時の普通給与の6カ月分に相当する額を弔慰金の限度額とし、その金額を超える部分は死亡退職金とみなされます。ちなみに被相続人の死亡が業務上の死亡であるときは、被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額が弔慰金の限度額となります。」

リエ「そうなんですね。相続税の話は全然わからないので勉強になりました。有難うございました。」

監修

profile_photo

税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

この記事のカテゴリ

この記事のシリーズ

OLリエちゃんの経理奮闘記

記事の一覧を見る

関連リンク

令和3年分の確定申告の申告・納付期限の延長

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


コラム
/column/2022/img/thumbnail/img_07_s.jpg
リエ「黒田さん、ちょっと質問してもいいですか?」黒田「はい、リエちゃん。何かありましたか?」リエ「実は去年、私の親戚が交通事故で亡くなったんです。それで先日、親戚の勤務先から死亡退職金が支給されたと聞いたんですが、この死亡退職金は相続税の対象になるんですか?」黒田「お身内にご不幸があったんですね。心よりお悔やみ申し上げます。死亡退職金ですが、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は『みなし相続財産』として相続税の課税対象となります。3年以内に支給が確定したものとは、①死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの、 ②生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したものをいいます。ちなみに被相続人の死亡後3年を経過した後に確定した退職金は相続税ではなく、受取人の『一時所得』として所得税の課税対象となります。」リエ「私の親戚の場合、死亡後3年以内に支給されているので相続税の対象になりますね。相続税がどれくらいかかるか気になります。」黒田「死亡退職金は、その全額が相続税の対象となるわけではありません。全ての相続人が受け取った死亡退職金の合計額が非課税限度額以下のときは課税されません。非課税限度額の計算は、『500万円×法定相続人の数=非課税限度額』となります。法定相続人の数ですが、相続を放棄した人がいても相続人の数に含めます。あと、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。ちなみに、相続人以外の人が死亡退職金を受け取った場合は、非課税限度額の適用はありません。」リエ「私の親戚の場合、法定相続人は3人なので1500万円が非課税限度額になるということですね。」黒田「その通りです。ちなみに被相続人の勤務先から死亡退職金の他に弔慰金の支給はありましたか?」リエ「確認しないとわからないですけど、もし弔慰金が支給されていた場合も相続税の課税対象になるんですか?」黒田「弔慰金は通常相続税の課税対象になることはありません。しかし、限度範囲を超える弔慰金は死亡退職金として相続税の課税対象となります。被相続人の死亡が業務上の死亡でないときは、被相続人の死亡当時の普通給与の6カ月分に相当する額を弔慰金の限度額とし、その金額を超える部分は死亡退職金とみなされます。ちなみに被相続人の死亡が業務上の死亡であるときは、被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額が弔慰金の限度額となります。」リエ「そうなんですね。相続税の話は全然わからないので勉強になりました。有難うございました。」
2022.03.14 16:00:48