令和4年度税制改正
令和4年度税制改正
あゆみ:新聞で令和4年度の税制改正の内容が公表されたと報道されてたけど、うちの会社に何か関係ある?
ケン:12月10日に与党から令和4年度税制改正大綱が公表されています。今年の改正内容は大きな改正がない印象ですが、国内消費を活発化させるため、給与の増加分に対する税額控除が拡充されています。
所得拡大促進税制の拡充
あゆみ:その給料上げたら減税するって記事を読んだわ。どうすればどのくらい減税になるの?
ケン:所得拡大促進税制というのですが、現在でも大企業では前年から引き続き雇っている人を対象に給与の増加分に対し最大20%、中小企業では全雇用者を対象に増加分に対し最大25%を法人税額から控除できる制度です。
この制度については、令和4年度から、大企業では前年から雇っている人を対象に4%以上給与が増加していれば、教育訓練費が5%上乗せされた場合、最大30%となり、中小企業は新規の雇用者も含め、全体の給与が2.5%以上増加していれば控除率が最大30%となり、また、教育訓練費が10%以上増加すればさらに10%上積みされて控除率が最大40%となります。
あゆみ:ってことは、私のところは5%上乗せされるだけね。
ケン:そういうことになりますが、教育訓練費が10%増加すればさらに10%控除率が増え、最大40%になります。
あゆみ:教育訓練費ってどういうものをいうの?
ケン:従業員の知識や技術を習得、向上させるための費用を言います。具体的には、外部の講師を招いた時の講師費用、外部施設を借りて研修を行った場合の使用料、外部で行う研修への参加費等が挙げられます。
あゆみ:それなら、教育訓練費も前の年より増えそうだわ。
ケン:はい、有効にこの制度をご活用いただければと存じます。
5G投資促進税制
あゆみ:ほかに関係する改正はないの?
ケン:社長の会社に関係するかどうか微妙ですが、あゆみ社長は5Gってご存知ですか?
あゆみ:携帯電話の・・・?
ケン:そうです。携帯電話等に利用できる第5世代移動通信システムのことを言います。
現在、事業者がこの5Gのインフラを整備するために投資をした場合には、その投資額について、15%の法人税額控除、もしくは30%に特別償却が適用できる制度があります。
この制度は令和4年3月31日で期限切れとなる予定でしたが、3年延長され、控除率も段階的
に引き下げられています。
あゆみ:この制度はお店の中にそのシステムを導入しただけでも適用できるの?
ケン:はい、適用できます。小売店などでの商品管理や電子決済に利用できますので、是非ご活用ください。
住宅ローン控除の見直し、電子取引の宥恕規定
あゆみ:ほかには何かあるの?
ケン:住宅ローン控除については、控除率を引き下げたうえで控除できる年数が10から13年に引き伸ばしされました。
ところで、先月、請求書などをメールやインターネットを通じて受け取る電子取引については、令和4年1月1日からすべての事業者に適用になるというお話をいたしました。
あゆみ:先月話してくれたから覚えてるわ。
ケン:こちらに2年間の宥恕規定が設定されることになりました。
大綱には「令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る
保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的
記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認
め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭
な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合に
は、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする」と記載されて
おり、事実上2年間猶予されます。
あゆみ:これはちょっと大変そうだったからね。2年間でちゃんとしろよってことね。
ケン:その通りだと思います。
来年度以降の課題
あゆみ:そういえば、今年の秋は金融所得税制を改正するなんてことを政治家が盛んにアピールしてたけど、それはどうなったの?
ケン:その点については、「高所得者層の所得に占める金融所得の割合が高く、所得税負担率が低下している」ことを指摘した上で、「これを是正する観点から検討する」とされました。
あゆみ:やはり、後々は改正されるのね。
ケン:はい。同じように、贈与税についても、「富裕層の財産の移転が相続税の累進負担を回避する」と指摘し、「見直しをする」と明言しています。
あゆみ:この話を連続して聞くと、高齢者の富裕層には税金を負担してもらおうというのが垣間見えますね。
ケン:それについては、コメントは差し控えさせていただきます。(笑)