前月に給与支払いがない場合の賞与計算
リエ「黒田さん、賞与の計算方法について質問してもいいですか。」
黒田「はい、りえちゃん。何かありましたか?」
リエ「賞与に対する源泉所得税の計算なんですけど、通常は、(1)前月の給与から社会保険料等を差し引く。(2)「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で(1)の金額と扶養親族等の数に当てはまる税率を確認する。(3)賞与から社会保険料等を差し引いた金額に(2)の税率を掛ける、という方法で賞与から源泉徴収する税額を計算するんですよね。」
黒田「はい、その通りです。」
リエ「では、もし前月に休職等の理由で給与の支払いがなかった場合はどうやって賞与から源泉徴収する税額を計算するんですか?」
黒田「前月に給与の支払いがない場合は、通常とは異なる方法で賞与から源泉徴収する税額を計算します。(1)賞与から社会保険料等を差し引いた金額を6で割る。(2)(1)の金額を『給与所得の源泉徴収税額表(月額表)』に当てはめて税額を求める。(3)(2)の金額を6倍にした金額が賞与から源泉徴収する税額になります。ちなみに賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って、同じ方法で計算します。そして求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になります。」
リエ「通常の賞与の源泉徴収税額の計算方法と違うんですね。前月の給与が0円なので、『賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表』の賞与の金額に乗ずべき率は0%でいいのかなと思っていました。」
黒田「ちなみに、前月の給与が極端に少ないなどの理由で、賞与の金額が前月の給与の10倍を超える場合も計算方法が異なります。(1)賞与から社会保険料等を差し引いた金額を6で割る。(2)(1)の金額に前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額を加算する。(3)(2)の金額を『給与所得の源泉徴収税額表(月額表)』に当てはめて税額を求める。(4)(3)の金額から前月の給与に対する源泉徴収税額を控除する。(5)(4)の金額を6倍にした金額が賞与から源泉徴収する税額になります。こちらの場合も、もし賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って、同じ方法で計算します。そして求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になります。」
リエ「よくわかりました。有難うございます。滅多にないケースだと思いますが、賞与計算をするときは気をつけたいと思います。」