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消費税の中間申告

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消費税の中間申告

あゆみ:今月こんな書類が届いたわ。

ケン:これは消費税の中間申告書と納付書ですね。

あゆみ:そう。これって納めなくちゃいけないの?

ケン:はい、消費税の中間申告については、納税をしなくてはなりません。納期限に遅れると延滞税が課されます。納めた金額は今期の確定申告の前払いとなります。

あゆみ:消費税の中間申告の納期限っていつなの?

ケン:実は消費税の中間申告は直前の課税期間の確定消費税額によって、中間申告が1回の場合、3回の場合と11回の場合に分かれます。
   社長の会社は消費税の中間申告は1回となっていますので、事業年度開始の日以後6月の期間の末日の翌日から2月とされていますので、8月31日となっています。

消費税の中間申告の回数

あゆみ: 私の会社は1回だけど、消費税がいくら以上だと3回になるの?

ケン:直前の課税期間の「国税」の消費税額が48万円を超えると1回の中間申告、480万円を超えると3回の中間申告、4800万円を超えると11回の中間申告となります。

あゆみ:「国税」とあえて言ったのはなんか意味あるの?

ケン: 消費税率の10%の内訳は国税分が7.8%、地方税分が2.2%となっています。今申し上げた48万円、480万円、4800万円は国税のみの金額です。地方消費税は含みません。
   何が言いたいかというと、「納税額とは違います」ということです。

あゆみ:「納税額と違う」ってどういうこと?

ケン:例えば、すべて10%の消費税が課税された取引と仮定して中間申告がなかった場合に、確定申告で納税額が60万円と算出されたとします。この場合、国税部分は78%相当額ですから468,000円です。中間申告が1回必要になる48万円という基準は、この468,000円の部分が48万円を超えるかどうかで判断しますので、納税額が60万円だからといって、中間申告が必要でない場合があるということです。
   
あゆみ:そういうことなのね。

中間申告の納付額の計算

あゆみ:ところで、その中間申告の納付額は確定申告の1/2でいいんでしょ?

ケン:実際の計算方法は違います。
   先程の国税分のみで、確定消費税額の6/12を計算します。その計算した額に地方税分の税率22/78相当額を加算した額が中間申告における納付額となります。
   したがって、必ずしも確定消費税額の1/2になるわけではありません。
   中間申告が3回の場合は国税分のみの確定消費税額に3/12を乗じます。中間申告が11回の場合は国税分のみの確定消費税額に1/12を乗じます。

あゆみ:地方税分を算出するのに22/78相当額を計算するのはどうして?

ケン: これは、先ほど申し上げました通り、国税分の税率は7.8%で、地方税分の税率は2.2%のところ、国税分のみで6/12を計算した分については7.8%分なので、地方税分についての2.2%を算出するために22/78相当額を算出します。

仮決算に基づく中間申告

あゆみ:いやね、私の会社は今回は納めるけど、もし売上が急激に下がったなどの理由で納められない場合はどうすればいいの?

ケン:「仮決算に基づく中間申告」をすることができます。
   今まで申し上げたのは、「前年度実績による中間申告」です。
   「仮決算に基づく中間申告」とは、課税期間開始の日から6か月(中間申告3回の場合は課税期間開始の日から3か月ごとの期間、中間申告11回の場合は課税期間開始の日から1か月ごとの期間)を一課税期間とみなして仮決算を行い、これに基づいて計算した消費税額と地方消費税額を中間申告における納付額として申告・納付ができます。

あゆみ:ということはその仮決算で申告額が0円だったら納付しなくていいの?

ケン:はい、その場合には納付は必要ありません。納付額がマイナスで算出されても還付されません。納付はありませんが、還付もありません。ただし、申告は必要です。

あゆみ:なんで「申告は必要」を強調するの?

ケン:実は「前年度実績による中間申告」については、納税を済ませていれば申告書の提出がいらないのです。
   消費税法第44条に「中間申告書を提出すべき事業者がその中間申告書をその提出期限までに提出しなかつた場合(中略)には、その事業者については、その提出期限において、税務署長に前年度実績による中間申告書の提出があつたものとみなす。」とありますので、納付さえ済ませていれば申告は必要ありません。
   ただし、「仮決算による中間申告」の場合は新たに計算した申告書を提出しないと、納付額は「前年度実績による中間申告」の納付額になってしまいますので、仮決算の場合は申告書も忘れずに提出することが必要です。

あゆみ:わかったわ。消費税は納付が厳しいけど納めます。

ケン:はい、「消費税は預りもの」とよく言いますので、忘れずに納めてください。

執筆者情報

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清水 透

清水透税理士事務所 所長 税理士(登録番号104689)

平成18年2月税理士登録
大手税理士事務所に勤務しつつ、平成25年4月~平成28年1月の間みずほ銀行に出向。
平成28年2月独立開業
法人税・消費税・所得税・相続税の申告業務の中でも、法人オーナーに対する相続税約1億円を節税する株式承継の提案や個人の不動産オーナーに対する相続税約5,000万円を節税する提案などの経験。
また税制改正や事業承継の全国でのセミナー、全国のお客様に対し法人の株式承継対策や個人の方々の相続税対策の提案に毎日奔走中。
「気がつけばあなたも相続税?」2011.9(共著)出版
協力:株式会社実務経営サービス
https://www.jkeiei.co.jp/

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2021.08.19 15:58:11