テレワークの費用はどの程度負担すればいいの?
テレワークの費用負担
あゆみ:全然コロナが収束しないわね。
ケン:そうですね。緊急事態宣言も延長されましたし、追加された地域もありますね。
あゆみ:私のところは、対面商売が基本なんだけど、このご時世だからインターネットの通
販も始めてその部分はテレワークにしてるわ。
ケン:テレワークの補助金のほとんどが申請受付終了しました。緊急事態宣言の延長でテレ
ワークを推奨するならもう一度申請を受け付けてほしいですね。
あゆみ:それでね、テレワークすると、自宅の電気や電話を使うわけでしょ。だからその分
を従業員に支払ってるんだけど、それってまさか給料ってことないわよね?
ケン:実費相当額を精算する方法で、従業員に支給する場合は給与にはなりません。
ただし、毎月一定金額を従業員に支給し、返還を求めないものがある場合には給与と
して源泉徴収しなければならない場合がありますので、注意が必要です。
通信費の実費精算方法
あゆみ:その実費の精算方法ってどうすればいいの?
ケン:まず、通信費です。
基本料と通話料が分かれている場合には、業務部分の通話料相当額は実費としてい
ただいて構いません。
基本料や、インターネット通信料など合理的に案分する必要があるものは次の算式
によるものとされています。
【算式】業務用の通信費 = 1か月分の通信料等 × (1か月分の在宅勤務日数 /
その月の日数)×1/2
あゆみ:最後の1/2って何?
ケン:これは1日の時間を、労働時間を8時間、睡眠時間を8時間、その他の時間を8時
間として、起きている時間のうち労働時間はその半分を占めていると仮定した算式
です。
あゆみ:20日在宅とした場合実際どのくらいが業務用になるの?
ケン:例えば通信費10,000円かかったとして業務のための通話料は1,000円とします。
この場合、通話料の1,000円は業務用であり課税されません。
その月を30日として残り9,000円のうち業務用となるのは
9,000×20日/30日×1/2=3,000円
業務用通信費=1,000円+3,000円=4,000円
となります。
あゆみ:結構低いわね。
電気代の実費精算方法
あゆみ:電気代は?
ケン:電気も次の算式で合理的に案分します。
【算式】業務用の電気代 = 1か月分の電気代 ×(業務に使用した床面積 / 自宅の床面積) × (1か月の在宅勤務日数 / その月の月数)×1/2
あゆみ:電気は床面積で案分するのね。
自宅の半分を在宅勤務で使用した場合はいくらが費用になるのかな?
ケン:同じように、電気代10,000円で自宅が100㎡、1か月30日のところ20日在宅勤務とします。
業務用の電気代=10,000円×50㎡/100㎡×20日/30日×1/2=1,666円
となります。
あゆみ:こっちも相当低いわね。
そっか、この金額を超えて支給しちゃうとお給料だってことになっちゃうわけね。
ケン:その通りです。源泉徴収しなければなりません。
レンタルオフィスの費用負担
あゆみ:従業員の中には、自宅だとスペースがなくて仕事できないからレンタルオフィス借
りるしかないって人もいるんだけど、その取扱いは?
ケン:レンタルオフィスについては、その領収書で精算されている限り、給与にはなりません。
昼食代の費用負担
あゆみ:うちのお店、テレワーク前は、昼食はお弁当を頼んで、従業員から半額を徴収していたんだけど、テレワークになっても依然と同額を支給して、その半額を徴収しているんだけど、何か問題ある?
ケン:食事支給については、従業員から50%以上を徴収し、会社負担分が消費税抜きの金額で3,500円を超えなければ、給与として課税しなくてもよいこととされています。
したがって、この範囲内で収まっているのであれば特段問題はございません。
中小企業経営強化税制
あゆみ:何か制約ばっかりって感じだけど、お得な情報はないの?
ケン:テレワークのために支出した設備費用は中小企業経営強化税制の対象となりました。
テレワークの設備を取得する前に経営力向上計画を所轄官庁に提出をし、その認定を受ける必要があります。
あゆみ:それ1年前に言ってたやつでしょ?
ケン:はい、言いました。
認定を受けて設備等を取得して事業に使用すると、取得価額の100%費用計上または10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除のどちらかを適用することができます。
あゆみ:テレワークは精算が面倒だから早くコロナが収束して欲しいわ。
ケン:コロナが収束しても逆にテレワークで済む部分はテレワークが残るかもしれませんね。
あゆみ:でもね、私のところは対面商売が基本だから、その意味でも元に戻ってほしいと思ってるの。
ケン:それは、全人類の総意ですね。