いざ!開業
税理士としての経営を取り巻く環境は昨今、大変厳しいものがあります。そこで、起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてコラムを連載しています。少しでも役に立ち、安定した事務所経営ができるようになる礎となれば、うれしいです。ここまで連載してきたこのコラムも今回が最終回。いよいよ開業を迎えるときについてです。では、一緒にみていきましょう!
■いざ、開業!
いよいよ、待ちに待った開業の日。ここまでいろいろと準備を進めてきましたね。このコラムでも、コンセプトの構想から具体的な準備、そして事務所経営で大切なマーケティングや営業まで、いろいろと見てきました。みなさんも、やること盛りだくさんだったのではないでしょうか。その仕上げに入っていきましょう。
■あいさつ状
実際に開業するときに、最初にするべきこと。そう、あいさつです。
まずは、いままでお世話になった人にあいさつ状を出すこと、これは絶対にやっておいたほうがいいです。というのも、開業して1~2年ほどは、誰しも無名の存在だからです。そうなると集客での頼りは知り合いです。正確に言うと「知り合いづて」で仕事が来ることが大半という状況になります。
ただ、感覚的にいうと、「税理士など士業として独立開業した」ということが過去にお世話になった人達の隅々まで伝わるのに3年はかかります。例えば、中学・高校の同級生とか後輩とか、前に勤務していた職場の人とか、3年も経てば噂が広まり、知り合いづての紹介も増えていくのです。だとすれば、あいさつ状は、独立開業を広く知らせるための強力な武器となります。できる限りの枚数を用意し、できるかぎり多くの人に伝えましょう。
■あいさつまわり
あいさつ廻りも同じことです。相手にも時間をとってもらい、独立開業を広く伝えられるこのチャンスにあいさつまわりをしないのは非常にもったいないことです。オフィスの近隣のみなさまにもぜひあいさつをしましょう。税理士などの士業が飛び込み営業をするなんていうことは、品位も考えるとなかなかしにくいものですが、独立開業のあいさつだったら、何の違和感もありません。
旧知の人脈など、あいさつ周りに行きたくても、コロナ禍での感染対策や地元との距離の問題などがあるかもしれません。そんなときに武器となるのが、FacebookなどSNSです。いままで積極的にやってこなかったという人も、ぜひ、これを機にアカウントを作成し、チャレンジしてみてください。世界が広がるのと同時に、懐かしい面々での交流が再開するよろこびも得ることができるでしょう。みんなに応援してもらうことが大切です。
■ホームページなど
ホームページも正式にOPENできます。きっとこの時点では、自分の事務所ではどんな分野を扱うのか、報酬はいくらかなど、決めてみたものの不確定、なんていうことが大半なのではないでしょうか。だとしても、現時点の情報として、ぜひ、ホームページはOPENしてください。これだけWebが発達した現在においては、ホームページがないのは表札がないに等しいと思った方がいいです。
もし今後、事務所の経営方針や提供するサービスの内容や価格が変更になったという場合は、そのときに作り直すことも視野に入れましょう。税理士などの士業に限らずですが、ホームページのスタイルにも流行り廃りがあります。流行りのスタイルへの変更も含め、ホームページ自体も数年おきに大幅に作り替えることをおすすめしています。ホームページなど、販促に使える補助金を活用するにもひとつの手です。
■協業体制を確立する
ホームページをきちんと整備するべき理由のひとつが協業体制の確立です。例えば、他の士業やコンサルタントと協業するという話になったとき、ホームページがあれば、見込み客の紹介をしてもらうときにパンフレット代わりに見てもらうことができます。それを考えても、ホームページは必須だといえるでしょう。
各種士業やコンサルタントとの協業関係をぜひ積極的に取り組んでください。結果が出るまでに数ヶ月もの時間がかかるかもしれませんが、必ず成果に結びつくはずです。弊社での他の士業や他の税理士、コンサルタント系の会社など、幅広く協業関係を増やしています。読者のみなさまも協業していただけましたら幸いです。ぜひ、お声がけください。
■まとめ
ここまで5ヶ月間ほど、連載してきてこのコラム。いかがだったでしょうか?税理士などの士業の開業のノウハウやコツというテーマでかなり広範囲にわたり、お話しさせていただきました。本来であれば、独自ノウハウとして隠しておきたいことも広くOPENにしたつもりです。というのも、AIなど機械にとって代わられてしまうといわれているのが我々自身です。そんなことにならないためにも業界全体がもっと幅広い視野で勉強を続ける必要があると考えているからです。このコラムが少しでもみなさまの役に立ち、事務所経営を軌道に乗せられることを祈念しつつ、筆を置きたいと思います。これもご縁です。ぜひ、ご一緒に仕事ができることを楽しみにしております。