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コロナ禍の税理士の役割について考えよう

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起業コンサルタント®として活動しつつ、税理士事務所、税理士法人を開業、経営してきた経験をもとに、税理士として失敗しない開業のコツについてお伝えするこの連載コラム。今回は時代を反映して大事なことについてお話ししたいと思います。新型コロナウイルスの感染が広がる状況の中で、税理士として、どんな動きをするべきかについてです。では一緒に見ていきましょう。

■営業方法の見直し

コロナ禍の中、多くの企業では、集客や営業活動の方法について見直しに迫られています。税理士や士業の業界も例外ではありません。

最初に考えておかなければならないのが、対面でのリアルの営業活動が大幅に制限を受けてしまうことです。例えば、人脈を拡げたり営業活動をしたりという位置づけで、各種のビジネス交流会や飲み会に参加するスタイルを取ってきた人、またはそういった営業活動を想定していた人です。

例えば、緊急事態宣言下での飲食店の休業要請もしくは時短営業といった状況の中、各種イベントや飲み会は中止になったりします。仮にそういった公的な要請がないとしても、やはり感染対策として、そうした場に足繁く通っているということ自体が、世間からはばかられる状況になります。万が一、感染してしまったら事務所経営自体も大きなダメージを受け、結果的にはクライアントに依頼させていた仕事が遅れるなど、信用が傷つく事態になってしまいます。

自社が主催でのリアルでのセミナー開催、交流会も同じことです。感染状況を見ながら開催の可否を判断するしかありません。

■Web集客へと一部をシフトすることを検討する

こうしたことがあれば、いままでリアル、対面での営業スタイルに軸足を全て掛けて、それしかやってこなかったという場合、かなりの営業上の打撃を受けることになります。現状打開、もしくはこの先のリスク回避を含めて考えると対面での営業活動だけではなく、Webを活用したマーケティングや営業を取り入れていくことを検討すべき時期にきています。これを気に、Webマーケティングについても必死に勉強することをおすすめします。SNSや動画でのマーケティング、ウェビナー(ZOOMなどを使ったWeb上でのセミナー)に挑戦してみるのも良いでしょう。

■打ち合わせについても感染対策を検討する

見込み客やクライアントとの打ち合わせについても同様です。対面での打ち合わせが難しい状況の中では、ZOOMなどのオンラインミーティングツールを使って打ち合わせをする体制を構築しておきましょう。いままでやったことがないという人でも、実際にやってみれば非常にカンタンです。知り合いを相手に試してみるなど、がんばって習得しましょう。相手によっては、マイクロソフトのTeamsなど他のソフトウェアの使用を希望する場合もあります。複数の手段を用意しておけば確実です。チャットでの相談などもひとつの手です。

相手によっては、そうしたオンラインミーティングツールではなく、実際に膝をつき合わせての打ち合わせや相談を希望されるケースもあるでしょう。そんなときのために、オフィスでの感染対策にも万全を尽くしましょう。定期的に換気をしたり、手指洗浄液を設置したりするのはもちろんのこと、ウイルスにも対応できるような高性能の空気清浄機を設置するなど、万全の対策をしておきたいところです。そのことをSNSなどで発信すれば、対策をアピールもできます。

■何よりもクライアントのことを思えるか

コロナ禍で、税理士など士業の選別が始まっています。クライアントから見れば、緊急時ほど税理士など士業を頼らなければならない状況になります。そんな中、在宅勤務など自社の感染対策を優先するあまりクライアントに依頼された業務が滞ったりすれば信用を失う一方で、逆に無理して通勤してスタッフが感染すれば、それはそれで多くの人に迷惑を掛ける結果になります。このあたりの方針決定と対策をきっちりとしたいところです。

また、クライアントのコロナ禍の窮状をどれだけ救えるか、税理士の腕が試されるときでもあります。例えば、コロナ禍で次々と打ち出される政策に全て対応できているか。国や都道府県、市区町村などが打ち出す各種給付金公的な借り入れ制度、無利息での借り入れ、納税猶予、申告猶予、減免措置など資金繰りに関係する施策へのアドバイスやサポートです。また、雇用調整助成金など厚生労働省系の助成金などについて、概要だけでも理解しておく必要があるでしょう。実際の申請代行は、社会保険労務士の専門となりますが、理解しておくのとおかないのではだいぶ違ってきます。

■これを機に提携関係の見直しを

このようにコロナ禍のような緊急事態のもとでは、経営上、幅広い分野での支援が必要になり、税理士に期待される相談内容も多岐にわたります。当然ながら、税理士はどんなことでも対応できるほど万能ではないし、自分でできることには限界があります。ただ、クライアントの期待に応えるためにも、クライアントの経営が持ちこたえられるためも、総合的な支援は必須です。ぜひ、これを機会に、他の士業やコンサルタントとの提携関係を構築しておきましょう。弊社の場合、融資、補助金、助成金などの専門部隊を社内で抱え、自社のクライアントに提供しています。同時に、他の税理士や士業からスポットで紹介を受けた案件についても対応しています。お困りでしたら、いつでもお声がけください。

■まとめ

いかがだったでしょうか?コロナ禍において、税理士などの士業の役割はかなり上がっていますよね。世間の期待に応えられるように、日々、勉強や対策が求められているといえるでしょう。では、次回もお楽しみに!

執筆者情報

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代表者 中野 裕哲

起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士・社労士・行政書士法人V-Spirits

起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、宅地建物取引主任者

起業コンサルV-Spiritsグループ代表。ドリームゲート起業面談相談9年連続日本一。
多数の起業本、起業のWeb記事も執筆・監修する人気アドバイザー。
「まるごと起業支援(R)」で、あちこち相談せずとも、起業の疑問も不安も一度で解消。
著書「失敗しない起業 55の法則」「マンガでやさしくわかる起業」「図解 知識ゼロからはじめる起業の本」など。

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2021.03.16 18:25:32