在宅勤務者の通信費・電気料金の業務使用分の計算
リエ「黒田さん、令和3年1月8日に緊急事態宣言が再発令されたので、うちの会社も交代制で在宅勤務をすることになったんです。」
黒田「政府はテレワークを導入し、出勤者の7割削減を要請しています。しかし、対応が難しい職種もありますから、なかなか7割削減は難しいですね。」
リエ「通勤の電車もまだ結構混んでいて、7割削減できている実感はないですね。」
黒田「以前、テレワーク導入に係る費用の課税についてお話ししたことがありますが、覚えていますか?」
リエ「はい、従業員に会社が所有する事務用品等を『支給』した場合は従業員に対する現物給与として課税の対象になりますが、『貸与』した場合は非課税になるんですよね。あと、通信費や電気料金の実費相当額を計算して従業員に支給した場合も非課税になるんですよね。」
黒田「はい、そうです。ただ、通信費や電気料金の実費相当額を計算することが難しく、費用負担をめぐるトラブルが起きやすいと指摘されてきました。そこで、国税庁は令和3年1月15日に在宅勤務を行った社員の通信費や電気料金等について、所得税上の取扱いのルールをまとめた『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)』を公表しました。」
リエ「通信費や電気料金の実費相当額ってどう計算したらいいんですか?」
黒田「通信費に係る実費相当額の計算方法については、通話料は通話明細書等により業務のための通話料金が確認できますので、その金額を会社が従業員に支給している場合は非課税となります。通信費の基本使用料やインターネットの通信料は、今回公表された算式【業務使用分の使用料・通信料=従業員が負担した1ヵ月分の料金×(在宅勤務日数/該当月の日数)×1/2】により算出した金額を従業員に支給する場合には非課税となります。電気料金の実費相当額の計算方法については、【業務使用分の電気使用料=従業員が負担した1ヵ月分の料金×(業務のために使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(在宅勤務日数/該当月の日数)×1/2】により算出した金額を従業員に支給する場合には非課税となります。上記の算式によらず、より精緻な方法で業務使用分を算出し、その金額を従業員に支給している場合についても非課税となります。ただ、一人ひとりの業務使用分の計算は大変なので、実費相当額を支給するのではなく、『在宅手当として一定額を支給する』など、“業務に必要な費用として使用しなくても返還義務がない手当”として支給する場合は、給与として課税する必要があります。」
リエ「わかりました。うちの会社の在宅勤務の社内規定がどうなっているのか確認してみます。」