2020年度新規開業実態調査から創業融資の傾向を掴もう。
元公庫職員VTuberのみつきです。
毎年公表されている新規開業実態調査が今年度も公表されていました。
この調査は創業融資を検討している方にとってはとても有用なものです。
今回は新規開業実態調査について、そしてこの調査から分かる創業融資の傾向について解説していきます。
新規開業実態調査とは?
冒頭にお伝えしましたが、新規開業実態調査とは日本政策金融公庫の総合研究所が毎年行っている調査です。
名前からもイメージできる通り、この調査では創業を考えている方を取り巻く環境がどのように推移しているのかを追跡しています。
調査は1991年度からスタートしており、今回の調査で30回目と公庫の調査物のなかでは最も有名な調査結果の1つです。
この調査に注目すべき理由は、調査対象が日本政策金融公庫の創業融資先であることです。(※不動産賃貸業は調査対象から除外されています。)
つまり、この調査結果は公庫が実際に創業融資をした企業の平均値を知ることができるのです。
わざわざ公庫から、
「私たちが創業融資をしている事業者はこんな事業者ですよ。」
と教えてくれているようなものです。
創業予定者から見れば、これは利用しない手はないですよ!
2020年度新規開業実態調査を見てみよう
なぜ新規開業実態調査が有用なのかが理解できたところで、さっそく2020年度新規開業実態調査を見ていきましょう。
まずは「開業時の平均年齢」です。
(引用:2020年度新規開業実態調査)
開業時の年齢は「40歳代」が38.1%と最も多く、次いで「30歳代」が30.7%という結果です。
開業の担い手が「40歳代・30歳代」であることが分かりますが、「40歳代」が占める割合が年々上昇傾向にあり、「30歳代」は減少傾向にあります。
平均年齢の推移も上昇傾向にあることからも分かる通り、公庫の創業融資を受ける年代がどんどん上になっています。
日本政策金融公庫の創業融資の商品に「女性、若者/シニア起業家資金」がありますが、この融資商品を積極的に適用する流れがストップしていることが推測できます。
続いて、「斯業経験」を見ていきましょう。
(引用:2020年度新規開業実態調査)
創業融資先のうち、斯業経験(これから創業する事業に関連する経験)がある事業者は82.0%と高い水準となっており、ここから公庫は斯業経験を重視していることが分かります。
そして、斯業経験年数にも注目してみましょう。
斯業経験の平均年数は14.6年となっています。意外と長いと思いませんか?
これは、事業を軌道に乗せるために必要な素地を作り上げてきた30歳代後半~40歳代に対して融資をしているということです。
先ほどご紹介した開業時の平均年齢が上がっている背景には、経験豊富な創業予定者に対して積極的に融資をしたいという公庫の考えがあることが推測できます。
また、管理職経験ありは67.1%、管理職経験の平均年数は11.2年と、創業すれば必ず必要になるマネジメント経験もポイントの1つになっていることが分かります。
以上が新規開業実態調査から分かる創業融資の傾向になります。
日本政策金融公庫が公表している以上、この調査から汲み取れる創業融資の傾向をしっかり掴むことができれば、創業融資をスムーズに進めることができるようになります。
ぜひご自身の創業融資のケースと比較しながら不足しているところを補って、創業融資の準備を行ってください。