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令和2年分の確定申告における主な改正点

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年金とお給料の両方をもらっている方は増税になる??

あゆみ:この間従業員から相談があったの。
    その従業員のお母さんは給料と年金と両方もらっていて、「今年は増税になるの?」って相談だった。その時は「今度税理士さんに聞いてみるね」って答えたんだけど。

ケン:年末調整の時もお話をした、給与所得控除が10万円下がるという内容の延長線上のお話ですね。
   おっしゃる通り、実は公的年金控除額も10万円下がっていて、年金と給与を両方もらっている人は、控除分が合計20万円下がることとなり、基礎控除が10万円上がっても差し引きで10万円控除が下がることとなります。

あゆみ:それってやっぱり増税になるの?

ケン:いえ、増税にはなりません。
   年末調整の際、収入が給与のみでその給与が850万円を超える方で、
    ①特別障害者であるか、扶養親族に特別障害者がいる
    ②23歳未満の扶養親族がいる
   場合には増税にならない措置が取られています、というお話をいたしましたが、年金とお給料の両方をもらっている方についてもこの措置が取られています。

あゆみ:そうなんだ。具体的には?

ケン:年金とお給料の両方をもらっている方でその所得金額の合計額が10万円を超える方は、所得金額調整控除として10万円を控除することができます。
   したがって、控除額が20万円下がっても、基礎控除が10万円上がるのと所得金額調整控除の10万円で増税にはなりません。

あゆみ:そうなってるのね。よかったわ。
    これって年末調整でできるの?

ケン:年金とお給料の両方をもらっている方で、年金以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
   したがって、この所得金額調整控除は確定申告で行うこととなります。

基礎控除が10万円上がったことによる青色申告特別控除への影響

あゆみ:確定申告で他に影響ってあるの?

ケン:社長には関係ありませんが、個人事業者の青色申告特別控除についても影響があります。
   青色決算書に貸借対照表をつけない場合の青色申告特別控除は10万円で変更ありませんが、正規の簿記の原則に従って記帳し、貸借対照表を添付する場合には55万円(改正前65万円)の青色申告特別控除となります。
   ただし、次の要件のどちらかを満たせば青色申告特別控除は65万円となります。
    ①帳簿を電子帳簿保存法に基づき、電磁的記録等により保存していること
    ②青色決算書および確定申告書を申告期限までにe-Taxにより提出すること

確定申告におけるその他の改正点

あゆみ:やっぱり確定申告はいろいろと面倒ね。
    ほかに知っておいたら特になる情報ってある?

ケン:給与をもらっている方が給与所得控除に追加で申請できる特定支出控除ですが、単身赴任している場合の帰宅旅費の回数制限が撤廃されました。またその交通費も車で帰宅する場合のガソリン代、高速代も対象となります。

あゆみ:コロナ関係は?

ケン:国民一人あたり10万円が支給された特別定額給付金は所得税が課されません。
   さらに、対象児童1人につき1万円が支給された子育て世代臨時特別給付金も同じく非課税となります。
   また、新型コロナ感染症の影響により、劇場公演やスポーツイベントなどが中止となった場合で、その入場料金の払い戻しを請求せず、放棄したときにはその放棄をした払い戻し請求権の合計額について、寄付金控除または公益社団法人等に寄付した場合の所得税額の税額控除の適用を受けることができます。

あゆみ:今年はコロナの影響で、経験したことがなかった1年だったからね。
    確定申告でこれらの規定を有効に受けなきゃね。

ケン:そうですね。来年の確定申告の時期には少しは収まっていればいいのですが・・・。
   1日も早い収束を願いたいですね。

執筆者情報

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清水 透

清水透税理士事務所 所長 税理士(登録番号104689)

平成18年2月税理士登録
大手税理士事務所に勤務しつつ、平成25年4月~平成28年1月の間みずほ銀行に出向。
平成28年2月独立開業
法人税・消費税・所得税・相続税の申告業務の中でも、法人オーナーに対する相続税約1億円を節税する株式承継の提案や個人の不動産オーナーに対する相続税約5,000万円を節税する提案などの経験。
また税制改正や事業承継の全国でのセミナー、全国のお客様に対し法人の株式承継対策や個人の方々の相続税対策の提案に毎日奔走中。
「気がつけばあなたも相続税?」2011.9(共著)出版
協力:株式会社実務経営サービス
https://www.jkeiei.co.jp/

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あゆみ:この間従業員から相談があったの。    その従業員のお母さんは給料と年金と両方もらっていて、「今年は増税になるの?」って相談だった。その時は「今度税理士さんに聞いてみるね」って答えたんだけど。ケン:年末調整の時もお話をした、給与所得控除が10万円下がるという内容の延長線上のお話ですね。   おっしゃる通り、実は公的年金控除額も10万円下がっていて、年金と給与を両方もらっている人は、控除分が合計20万円下がることとなり、基礎控除が10万円上がっても差し引きで10万円控除が下がることとなります。あゆみ:それってやっぱり増税になるの?ケン:いえ、増税にはなりません。   年末調整の際、収入が給与のみでその給与が850万円を超える方で、    ①特別障害者であるか、扶養親族に特別障害者がいる    ②23歳未満の扶養親族がいる   場合には増税にならない措置が取られています、というお話をいたしましたが、年金とお給料の両方をもらっている方についてもこの措置が取られています。あゆみ:そうなんだ。具体的には?ケン:年金とお給料の両方をもらっている方でその所得金額の合計額が10万円を超える方は、所得金額調整控除として10万円を控除することができます。   したがって、控除額が20万円下がっても、基礎控除が10万円上がるのと所得金額調整控除の10万円で増税にはなりません。あゆみ:そうなってるのね。よかったわ。    これって年末調整でできるの?ケン:年金とお給料の両方をもらっている方で、年金以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。   したがって、この所得金額調整控除は確定申告で行うこととなります。
2020.12.18 15:43:40