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補助金に含まれる消費税等相当額の返還

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リエ「黒田さん、先日購入した機械660万円(税抜き600万円)に関してものづくり補助金の受給決定通知が届きました。受給額は、購入価額の3分の2相当額400万円となりますので、かなり負担を軽減することができそうです。」

黒田「機械は、1台あたりの金額が大きくなりますので本当に助かる制度ですね。」

リエ「補助金申請の準備にかなり時間を使いましたので、申請が間に合って本当に良かったです。後日、補助金の受給をした場合の会計処理科目は、雑収入でよろしいでしょうか。」

黒田「はい。補助事業に伴う補助金収入は、消費税法上の不課税取引に該当しますので、消費税の処理にも注意してください。」

リエ「ありがとうございます。ところで、『補助金の返還について』という気になる話がありました。後日、受領した補助金のうち消費税等相当額を返還しなければならないという内容なのですが………。」

黒田「御社の申請は、税抜き金額で申請されておりますので今回認定された補助金において消費税等相当額の返還の必要はありません。」

リエ「本当ですか。苦労して申請を行い、やっと認定されて一安心したところに補助金返還の話でしたので気が重かったのです。」

黒田「確かに認定された補助金額に消費税等が含まれている場合には、消費税等相当額の補助金の返還が必要になる可能性があります。」

リエ「どういうことでしょうか。」

黒田「補助を行っている国等からみた場合、補助金に係る消費税の控除対象仕入税額と補助金の交付額が重複すると考えられるためです。今回の税込み660万円の機械導入のケースで考えてみましょう。御社は課税事業者(課税売上高5憶円以下かつ課税売上割合95%以上)であり、660万円に含まれる消費税60万円を売上で預かっている消費税から差し引いて納税することになります。消費税込みの補助金額440万円を受給していた場合には、国等に納めるべき消費税等と重複して補助が行われた形になってしまいます。そのため、消費税の確定申告において控除対象仕入税額に算入した金額に関しては、補助金の返還が求められるということになります。」

リエ「消費税等の納税義務のない事業者には、関係のない話になりますから、消費税込みと消費税抜きの両方で申請ができるようになっているのですね。」

黒田「そうですね。免税事業者や簡易課税制度を選択されている事業者、課税売上割合が95%未満の事業者等、申請する事業者の状況によって対応も異なります。」

リエ「補助金の申請時に改めて自社の状況の把握し、申請を行う必要がありますね。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、先日購入した機械660万円(税抜き600万円)に関してものづくり補助金の受給決定通知が届きました。受給額は、購入価額の3分の2相当額400万円となりますので、かなり負担を軽減することができそうです。」黒田「機械は、1台あたりの金額が大きくなりますので本当に助かる制度ですね。」リエ「補助金申請の準備にかなり時間を使いましたので、申請が間に合って本当に良かったです。後日、補助金の受給をした場合の会計処理科目は、雑収入でよろしいでしょうか。」黒田「はい。補助事業に伴う補助金収入は、消費税法上の不課税取引に該当しますので、消費税の処理にも注意してください。」リエ「ありがとうございます。ところで、『補助金の返還について』という気になる話がありました。後日、受領した補助金のうち消費税等相当額を返還しなければならないという内容なのですが………。」黒田「御社の申請は、税抜き金額で申請されておりますので今回認定された補助金において消費税等相当額の返還の必要はありません。」リエ「本当ですか。苦労して申請を行い、やっと認定されて一安心したところに補助金返還の話でしたので気が重かったのです。」黒田「確かに認定された補助金額に消費税等が含まれている場合には、消費税等相当額の補助金の返還が必要になる可能性があります。」リエ「どういうことでしょうか。」黒田「補助を行っている国等からみた場合、補助金に係る消費税の控除対象仕入税額と補助金の交付額が重複すると考えられるためです。今回の税込み660万円の機械導入のケースで考えてみましょう。御社は課税事業者(課税売上高5憶円以下かつ課税売上割合95%以上)であり、660万円に含まれる消費税60万円を売上で預かっている消費税から差し引いて納税することになります。消費税込みの補助金額440万円を受給していた場合には、国等に納めるべき消費税等と重複して補助が行われた形になってしまいます。そのため、消費税の確定申告において控除対象仕入税額に算入した金額に関しては、補助金の返還が求められるということになります。」リエ「消費税等の納税義務のない事業者には、関係のない話になりますから、消費税込みと消費税抜きの両方で申請ができるようになっているのですね。」黒田「そうですね。免税事業者や簡易課税制度を選択されている事業者、課税売上割合が95%未満の事業者等、申請する事業者の状況によって対応も異なります。」リエ「補助金の申請時に改めて自社の状況の把握し、申請を行う必要がありますね。」
2020.10.12 15:02:06