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個人事業者等の雑所得、給与所得も「持続化給付金」の対象?

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リエちゃんと黒田さんが、「持続化給付金」についての話をしています。

リエ「個人事業者等(フリーランスを含む)の方で、主たる収入を雑所得又は給与所得で確定申告をしている場合でも、持続化給付金の給付対象になるんでしたよね。」

黒田「そうですね。一定の条件を満たすことにより、中小法人や事業所得のある個人事業者等の方のように、雑所得や給与所得の場合でも給付を受けることができます。」

リエ「具体的にはどのような方が対象になるんですか。」

黒田「2019年以前から、雇用契約によらず、業務委託契約等に基づく事業活動から収入を得ている方で、これらの収入を確定申告における主たる収入として、雑所得又は給与所得で収入計上していて、今後も事業を継続する意思のある方が対象になります。職種の例を挙げると、学習塾の講師、プログラマー、デザイナーの方などが該当してくると思います。」

リエ「その『主たる収入』はどう判断するんですか。不動産所得等の他の収入がある方もいますよね。」

黒田「鋭いですね。『主たる収入』にあたるかは、2019年分の確定申告書において、次の2つの要件を満たしている必要があります。」

1)確定申告書・第一表における「収入金額等」欄(「総合譲渡」、「一時」を除く)のうち、「雑・その他(ク)」又は「給与(カ)」欄(注1)に含まれる「業務委託契約等に基づく事業活動からの収入」が、他の収入区分を含めた中で最も大きいこと
2)確定申告書・第三表の「収入金額」欄(譲渡所得、退職所得の収入を除く)に、事業活動からの収入が含まれる「雑・その他(ク)」又は「給与(カ)」より大きい収入がないこと

(注1)「雑・その他(ク)」、「給与(カ)」欄の両方に事業活動からの収入が計上されている場合
には、その合計(事業活動以外からの収入は除く)を2019年分の年間業務委託契約等の収入とします。

リエ「それで、中小法人や事業所得のある個人事業者等の方の場合のように、売上の減少要件はあるんですよね。」

黒田「はい。2020年1月から12月までの任意のひと月(対象月)における業務委託契約等の収入(売上)が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2019年の月平均の同収入と比較して50%以上減少していることが要件になります。」

リエ「中小法人等が前年同月比で50%以上の売上減少が要件でしたけど、雑所得又は給与所得の場合では、前年同月比ではなく月平均と比較して判断するんですね。」

黒田「雑所得等は月による変動も大きいと思われるので、年間合計を12で割った月平均にして比較し易いように配慮されているんでしょうね。」

リエ「なるほど~。その他に給付要件のようなものはあるんですか。」

黒田「会社等に雇用されている方(サラリーマンの方、パート・アルバイト・派遣・日雇い労働等の方含む)や、被扶養者の方は給付対象になりません。ただし、2019年中に独立・開業した場合は対象になる可能性があります。それから、事業所得のある個人事業者等は、この雑所得又は給与所得での判定ではなく、事業所得を基にした給付規定に沿って申請することになります。」

リエ「良く分かりました。」

黒田「肝心の給付額については、2019年の年間業務委託契約等収入から対象月の業務委託契約等収入に12を乗じた金額を差し引いた金額(上限100万円)が給付額となります。そして、申請期間は2020年5月1日から2021年1月15日です。」

リエ「現状はまだ厳しいですけど、持続化給付金等の支援策が助けになると良いですね。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエちゃんと黒田さんが、「持続化給付金」についての話をしています。リエ「個人事業者等(フリーランスを含む)の方で、主たる収入を雑所得又は給与所得で確定申告をしている場合でも、持続化給付金の給付対象になるんでしたよね。」黒田「そうですね。一定の条件を満たすことにより、中小法人や事業所得のある個人事業者等の方のように、雑所得や給与所得の場合でも給付を受けることができます。」リエ「具体的にはどのような方が対象になるんですか。」黒田「2019年以前から、雇用契約によらず、業務委託契約等に基づく事業活動から収入を得ている方で、これらの収入を確定申告における主たる収入として、雑所得又は給与所得で収入計上していて、今後も事業を継続する意思のある方が対象になります。職種の例を挙げると、学習塾の講師、プログラマー、デザイナーの方などが該当してくると思います。」リエ「その『主たる収入』はどう判断するんですか。不動産所得等の他の収入がある方もいますよね。」黒田「鋭いですね。『主たる収入』にあたるかは、2019年分の確定申告書において、次の2つの要件を満たしている必要があります。」1)確定申告書・第一表における「収入金額等」欄(「総合譲渡」、「一時」を除く)のうち、「雑・その他(ク)」又は「給与(カ)」欄(注1)に含まれる「業務委託契約等に基づく事業活動からの収入」が、他の収入区分を含めた中で最も大きいこと2)確定申告書・第三表の「収入金額」欄(譲渡所得、退職所得の収入を除く)に、事業活動からの収入が含まれる「雑・その他(ク)」又は「給与(カ)」より大きい収入がないこと(注1)「雑・その他(ク)」、「給与(カ)」欄の両方に事業活動からの収入が計上されている場合には、その合計(事業活動以外からの収入は除く)を2019年分の年間業務委託契約等の収入とします。リエ「それで、中小法人や事業所得のある個人事業者等の方の場合のように、売上の減少要件はあるんですよね。」黒田「はい。2020年1月から12月までの任意のひと月(対象月)における業務委託契約等の収入(売上)が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2019年の月平均の同収入と比較して50%以上減少していることが要件になります。」リエ「中小法人等が前年同月比で50%以上の売上減少が要件でしたけど、雑所得又は給与所得の場合では、前年同月比ではなく月平均と比較して判断するんですね。」黒田「雑所得等は月による変動も大きいと思われるので、年間合計を12で割った月平均にして比較し易いように配慮されているんでしょうね。」リエ「なるほど~。その他に給付要件のようなものはあるんですか。」黒田「会社等に雇用されている方(サラリーマンの方、パート・アルバイト・派遣・日雇い労働等の方含む)や、被扶養者の方は給付対象になりません。ただし、2019年中に独立・開業した場合は対象になる可能性があります。それから、事業所得のある個人事業者等は、この雑所得又は給与所得での判定ではなく、事業所得を基にした給付規定に沿って申請することになります。」リエ「良く分かりました。」黒田「肝心の給付額については、2019年の年間業務委託契約等収入から対象月の業務委託契約等収入に12を乗じた金額を差し引いた金額(上限100万円)が給付額となります。そして、申請期間は2020年5月1日から2021年1月15日です。」リエ「現状はまだ厳しいですけど、持続化給付金等の支援策が助けになると良いですね。」
2020.09.29 17:06:13