年末調整の電子化のメリット
リエ「黒田さん。そろそろ年末調整の準備が始まりますね。」
黒田「そうですね。令和2年分から年末調整手続きも電子化が可能となりましたね。」
リエ「年末調整の電子化? 具体的にはどう変わるのですか?」
黒田「従業員は保険会社等から控除証明書等をデータで取得し、そのデータを年調ソフト等に取り込んで自動計算された保険料控除申告書等を勤務先へデータで提供します。勤務先は提供されたデータを基に年税額を自動計算し、提供されたものはデータとして保管します。」
リエ「なんだかデータばっかりですね。どういうメリットがあるのですか?」
黒田「従業員としては、これまでは送られてきた控除証明書等を基に控除額を手計算していたのですが、年調ソフトを利用すれば自動計算されます。さらにはマイナポータル連携を利用すれば複数ある保険会社から一括してデータを取得して自動計算されます。」
リエ「いくつもある控除証明書等を手書きで記入して計算するのは面倒ですものね。それに控除証明書等を紛失してしまった場合は再発行の依頼をしなければなりませんから便利ですね。ところで年調ソフトとは何ですか?」
黒田「年調ソフトとは、従業員が年末調整申告書を作成するために国税庁が無償提供するソフトウェアです。令和2年10月から利用可能予定です」
リエ「勤務先にとってもメリットはあるのですか?」
黒田「はい。これまでは従業員が提出した保険料控除申告書と控除証明書を見て、正しいかどうかをチェックする作業がありましたが自動計算されているので不要となります。また、遠隔地にいる従業員へは郵送でのやりとりで書類を提出してもらっていましたが、これも不要になります。」
リエ「たしかに間違った控除区分に記入していたり、計算が間違っていたりと修正することも多いですものね。」
黒田「郵送の手間や費用も省けるし、業務の効率化が図れますね。」
リエ「実際に年末調整を電子化しようとしたら、どのような準備が必要ですか?」
黒田「勤務先は実施方法を検討し、従業員へ説明します。必要であれば、従業員へ控除証明書等のデータ取得やマイナンバーカードの取得を依頼します。そして現在利用している給与計算システムを改修し、あらかじめ所轄税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出しておきます。」
リエ「給与計算システムの改修やセキュリティの問題などですぐには導入できないでしょうが、働き方が見直されていくこれからの時代には電子化が必要ですね。」