『新規開業実態調査』を活用した創業融資支援で他支援事業者と差をつけよう
元公庫職員VTuberのみつきです。
今回は、日本政策金融公庫が公表している『新規開業実態調査』についてご紹介します。
これを知っておくと、簡単に日本政策金融公庫の創業融資のポイントを把握することができます。
新規開業実態調査とは?
まずはこの新規開業実態調査とは何なのかというと、名前からも想像ができる通り、創業企業の実態を様々な側面から把握するための調査になります。
日本政策金融公庫が実際に創業融資支援をした企業に対してアンケート調査を行い、経営者の年齢や性別、開業動機、開業時の費用、その際の資金調達の内訳などを集計して、毎年1回公表しています。
ぜひ意識してほしいことが、「日本政策金融公庫が実際に創業融資支援した企業を対象にした調査」であることです。
このため、日本政策金融公庫の創業融資を通過するためのエッセンスが詰まっていることになります。
新規開業実態調査は1991年度から継続して行われているため、各項目ごとの推移を見ることができ、創業の実態がどのように変化してきているのかを分析することができるのです。
ここまで長い期間にわたった調査データというのは他にはないように感じます。
僕も日本政策金融公庫全体の創業融資のトレンドを把握するために、毎年必ずチェックするようにしています。
調査から分かること
この調査結果から経営者の年齢や性別、開業動機、開業時の費用などを知ることができますが、実際に現時点で最新の調査である2019年度新規開業実態調査を見ていきましょう。
この調査結果からザックリ2つの創業融資のトレンドが読み取れます。
まず一つは、創業時の年齢が上昇傾向にあることです。
公表されたグラフを見てみると、一番割合が高いのは40代の36.0%、次に高いのが30代の33.4%となっています。
(引用元:2019年度新規開業実態調査)
創業の担い手が30~40代と、イメージしていたものよりも年齢が上だと感じるかもしれません。平均年齢も上昇傾向にあり、1991年度の調査以来、最高値を更新しています。
各年代の申込数は分かりませんので、「年齢が高いほうが融資通過率が高い。」と考えるのは少し危ないかと思います。
みつき個人の見解ですが、過去のグラフを見ると、一昨年までは30代の割合が最も多いのが分かります。
これは金利優遇を受けられる若者の定義が35歳未満であり、若者の創業融資積極的に支援していたからだと考えられます。
このトレンドが一旦ストップし、経験が豊富であろう40代への創業支援に少しベクトルが向きつつあることが推察できます。
二つめは、起業の費用を抑える傾向にあることです。
調査結果を見ると、開業費用が500万円未満の割合が40.1%と最も高く、調査開始をしてから最も高い数値となっています。
(引用元:2019年度新規開業実態調査)
開業費用の平均額も1055万円とこちらも調査開始以来一番低い金額となっており、できるだけ小さく始める事業者が増えてきていることが影響していると考えられます。
最後に
新規開業実態調査はさらっと公庫のHPにアップされているだけで、おそらく見てもらいたい人にちゃんと届いていないのではないかと思います。
新規開業実態調査を押さえておくことで日本政策金融公庫の創業融資のトレンドを把握し、他の創業融資支援事業者との差別化のお役に立ててもらえればと思います。