賃料の減免を行った場合の取扱い
旭課長「黒田さん。ちょっと伺ってもいいですか?」
黒田「はい。どうしました?」
旭課長「当社の保有する不動産を賃貸していることは黒田さんもご存じだと思いますが、賃借人の事業者からコロナの影響で大打撃を受けて、賃料の支払いが厳しいので減額して欲しいとの要望がありましてね。」
リエ「あそこは飲食店なので影響が大きいでしょうね。」
旭課長「そこで役員間で協議をしまして、困った時は助け合おうということで、落ち着くまでの間は賃料を免除することに決定しました。」
黒田「随分と太っ腹な決断をしましたね。」
旭課長「あそこの社長とは長い付き合いですからね。このまま倒れていくのを黙って見ているだけというわけにもいかんでしょう。」
リエ「料理の腕前はたしかなので潰れないで欲しいです……。」
旭課長「1つ私が気になるのは、当社側で賃料を免除した金額というのは法人税上、寄附金として取り扱われるのでしょうか?」
黒田「賃貸借契約を締結している賃借人に対して賃料の減免等を行った場合、合理的な理由がなければ、減免前の賃料の額と減免後の賃料の額の差額に対しては相手方に寄附金を支出したものとして税務上、取り扱われます。」
リエ「そうすると損金算入限度額を超えた分は損金不算入になってしまうのですか?」
黒田「そうです。ただし、今回の免除が、例えば、次の条件を満たすものであれば、実質的には取引条件の変更と考えられ、その差額分について寄附金として取り扱われることはありません。」
1. 取引先等において新型コロナウィルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること。
2. 賃料の減免等が取引先等の復旧支援を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること。
3. 賃料の減免等が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間)内に行われたものであること。
旭課長「実は過去の賃料でまだ貰っていない未収入金が残っているのですが、これも今回、免除することにしたのです。この分も寄附金として取り扱われることはありませんか?」
黒田「はい。既に生じた賃料の減免等を行う場合も同様に取り扱われます。」
旭課長「よかった。これで心置きなく相手の社長にお伝えできます。」
リエ「このような状況ですから、なんとか協力し合って乗り越えていきたいものですね。」