日本政策金融公庫の創業融資に「見せ金」は通用しません。
元公庫職員VTuberのみつきです。
日本政策金融公庫の創業融資支援を実施している会計事務所であれば、「見せ金」という言葉はご存知かと思います。
創業を考えている方のなかには見せ金について誤解されている方が意外と多いのが事実で、すでに創業融資支援をされている会計事務所にとっては確認、これから創業融資支援を検討している会計事務所にとっては正しく理解する機会として、この後の内容をご覧いただければと思います。
見せ金とは?
見せ金は、「第三者から一時的にお金を借りてきて、さも自己資金かのように金融機関に提示し、金融機関に提示して融資の審査が終わった後に第三者から借りたお金を返すこと」を言います。
日本政策金融公庫の創業融資では創業計画資金の10%以上が要件ですが、
・まとまったお金がないけど創業したい。
・自己資金をできるだけ多く見せて少しでも融資額を多くしたい。
このように考えている方が日本政策金融公庫から創業融資を受けるために見せ金をしようとするのです。
ときどき「見せ金」という字面から、「コツコツ貯めてきた資金を見せること」を見せ金だと誤解している方がいらっしゃいますが、これは見せ金ではありません。
自分でコツコツ貯めたお金はれっきとした自己資金であり、自分のお金ではないものを自分のお金のように見せることを見せ金と言いますので、相談者が誤解している場合は正しく伝えましょう。
見せ金は通用しない
本記事のタイトルにもある通り、この見せ金は日本政策金融公庫には通用しません。
自己資金があるのかの確認は、提出される預金通帳で確認しています。
そこで、例えば第三者の名前で500万円などの振込が突然あったとすれば、不自然に見えませんか?
「この○○さんとは誰ですか?どういう関係ですか?この振込の内容は何ですか?」と、担当者は必ず確認してきます。
そこで「売上です。」と回答すれば、「売上であると確認したいので、その取引に関する請求書を提示してほしい。」と担当者に言われ、後戻りできない状況になるのが目に見えています。
「知人で今回の事業に共感し、支援してもらった。」と回答しても、役員や株主になっていない、借用証書がないならば、残念ながら信用される可能性は低いです。
見せ金だと判断された時点で、創業融資通過の扉は閉ざされると思っておきましょう。
見せ金と分かった時点で通過の可能性が急激に低くなるのは、
・自己資金を用意できていないことから創業に対する覚悟が見えないこと。
・加えて計画性がないこと
・自己資金がないならば、当初の事業計画の実現可能性が低くなる。
・何より偽ってくる人は信用できない。
などが理由として挙がります。
ちなみに公庫は見せ金と分かっても申込人には「これは見せ金ですか?」などと尋ねることはありません。
社内で粛々と審査を進めて、「総合的に判断しまして…」という言葉を使って融資のお断りの連絡をします。
「見せ金だとバレたら自己資金が少ない事業計画もプランBで進めてもらおう。」と思っていると、そんな機会を与えられないままに審査が終了して、融資お断りの連絡が来てしまいます。
日本政策金融公庫の創業融資でよく問題となる見せ金について、そして見せ金は通用しないことについて、お伝えしました。
まずは会計事務所で見せ金のことをここで正しく把握して、顧問先候補の信頼獲得に活用してもらえればと思います。