融資支援の報酬に上限があることを知っていますか?
元公庫職員VTuberのみつきです。
このような緊急事態のなか、顧問先から融資支援をしてほしいという声がいつも以上に多く出ているのではないでしょうか。
税理士事務所としては顧問料に上乗せして、売上を増加させる絶好のチャンスかと思います。
現在、融資支援サービスは完全成功報酬型が主流であり、融資が成功したときだけ報酬を受け取るというスタイルです。
融資支援サービスを展開していく際に大事になるものが「成功報酬の料金設定」でしょう。
報酬をどのように設定するのかは難しいですが、実は『法律で報酬の上限が設けられている』ことをご存じでしょうか?
融資額の5%が報酬の上限
『出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律』、通称『出資法』と呼ばれる法律の第4条でその上限が定められているのです。
第4条の条文は以下になります。
(金銭貸借等の媒介手数料の制限)
第四条 金銭の貸借の媒介を行う者は、その媒介に係る貸借の金額の百分の五に相当する金額(当該貸借の期間が一年未満であるものについては、当該貸借の金額に、その期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を乗じて計算した金額)を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならない。
2 金銭の貸借の保証の媒介を行う者は、その媒介に係る保証の保証料(保証の対価として主たる債務者が保証人に支払う金銭をいう。以下同じ。)の金額の百分の五に相当する金額(当該保証の期間が一年未満であるものについては、当該保証料の金額に、その期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を乗じて計算した金額)を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならない。
3金銭の貸借又はその保証の媒介を行う者がその媒介に関し受ける金銭は、礼金、調査料その他いかなる名義をもつてするかを問わず、手数料とみなして前二項の規定を適用する。
(引用元:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)
読みやすくすると、
・融資支援業者は融資金額の5%以上の報酬を受け取ってはいけない。
・受け取る報酬はどのような名義(例:着手金、手付金)であっても、これらを含めて5%を越えてはいけない。
となります。
つまり、「着手金:3万円、成功報酬:融資額の5%」という料金体系は違法になるということです。
このように「着手金+成功報酬」で融資額の5%を超えてしまうケースに当てはまっている方は多いかもしれません。
法律で報酬に上限を設けているとはいえ、それでも融資額の10%や20%を報酬で取るような業者は今も存在しています。
この法律に基づいて違法な資金調達業者を取り締まっているというお話を聞いたことがないので、野放しになっているのだと、個人的には感じています。
他の会計事務所と差別化を図るためにも、会計事務所が融資支援サービスを展開することは重要ですが、違法な報酬体系となると会計事務所の信用に大きく関わってきます。
万が一、出資法から外れた報酬体系となっている場合は速やかに修正するようにしましょう。
また、これから融資支援サービスを本格的に始めることを検討している会計事務所さんは、報酬を受け取るには上限があることを踏まえたうえで料金体系を設定するようにしましょう。