HOME コラム一覧 新サービスを定着させる要諦

新サービスを定着させる要諦

post_visual

事務所として新しいサービスの提供を始める際、どんなことに気を付けていますか?

所長先生から『やっておいてね』と伝えて、あとは職員に任せているという事務所もあれば、
所長先生がきちんと提案・導入状況を管理されている事務所もあります。
これまでに多くの事務所訪問をしてきましたが、やはりただ『やっておいてね』だけでは
目先の業務に追われてしまうため、頓挫することが多いようです。

定着しない要因としては、新しいことを始めるということ自体が億劫だと場合や、
新サービスの導入が難しい顧問先がいることから、心理的負担を感じさせてしまうことが挙げられます。


前者の場合であれば、まずは何故それを行うのか、それによってどういったメリットがあるのかを
明確にして動機付けを行うことが必要です。新しいサービスを始めるときはエネルギーを使いますので、
それ以上の納得感が重要になります。

そして後者の場合ですが、導入が難しい先がどれくらいあるのかをまずは確認してみましょう。
これも平均してみると、事務所全体で5%あるかどうかくらいだと思います。
つまり1担当者当たり1、2件あるかどうかといったところではないでしょうか。
無理な先は諦めて出来るところに導入すると考えれば職員さんの負担も軽減になります。

では、どのように提案すると導入がスムーズに進むのでしょうか。


【1】 管理者を決める
まずはきちんと進捗具合を管理する人が必要です。
はっきりと事務所の中で意見が言えるような年次の高い方やマネジメント層の方などが望ましいです。

【2】 顧問先をランク分け(優先順位分け)する
次に顧問先の方をABCDランクで分けます。
・お願いしたらすぐにやってくれる先はA
・少し躓くところもあるかもしれないがやってくれる先はB
・時間はかかるけれど最終的にはやってくれる先はC
・絶対に無理な先はD
といった具合です。

【3】 提案期限を設ける
ランクごとにいつまでに提案をしていくのか期限を設けましょう。
ABCランクすべて終わるまでに3年くらいはかかるくらいのつもりで考えましょう。

【4】 振り返りをする
Aランクの提案・導入が終わったらBランクの提案に移る前に振り返りをしましょう。
すぐに導入すると思っていたAランクであっても躓くことは多々あります。
どこで躓いたのか、何故躓いたのかということを振り返ってからBランクの提案を行いましょう。
逆にAランクを提案してきたという経験と自信も相まって、Bランクの導入の方がスムーズに
進んだということもありますので、焦らず提案していきましょう。


いかがでしょうか。
ポイントは

・出来るところからやっていく
・出来ない先は諦める

の2つです。

いきなり『全件に提案しよう!』や『難しい先からやっていこう!』というのは
むしろ失敗する事例を多く聞きます。


会計事務所も顧問先もより良い方向に進むための提案を受け入れてもらうためにも、
確実に導入できる先から提案をしていきましょう!

執筆者情報

株式会社名南経営コンサルティング

1966年開業の佐藤澄男税理士事務所(現・税理士法人名南経営)を祖業としたコンサルティングファーム「名南コンサルティングネットワーク」の中核企業。ネットワークでは、経営に関わるあらゆる専門家を抱え、中堅・中小企業を対象に、企業経営をワンストップでサポートして信用・実績を積み重ね、多くのクライアントをもつ。総スタッフ数569名(2019年7月1日現在)。同社は生産性向上を目的に開発したクラウドシステムMyKomonを使った会計事務所支援のほか、戦略的経営計画策定支援などの経営コンサルティング、経営者・後継者・経営幹部の育成指導、人事労務コンサルティングを得意分野とする。

この記事のカテゴリ

この記事のシリーズ

会計事務所のセオリー

記事の一覧を見る

関連リンク

責任の範囲を明確にする

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


コラム
/column/2020/img/thumbnail/img_28_s.jpg
事務所として新しいサービスの提供を始める際、どんなことに気を付けていますか?所長先生から『やっておいてね』と伝えて、あとは職員に任せているという事務所もあれば、所長先生がきちんと提案・導入状況を管理されている事務所もあります。これまでに多くの事務所訪問をしてきましたが、やはりただ『やっておいてね』だけでは目先の業務に追われてしまうため、頓挫することが多いようです。定着しない要因としては、新しいことを始めるということ自体が億劫だと場合や、新サービスの導入が難しい顧問先がいることから、心理的負担を感じさせてしまうことが挙げられます。前者の場合であれば、まずは何故それを行うのか、それによってどういったメリットがあるのかを明確にして動機付けを行うことが必要です。新しいサービスを始めるときはエネルギーを使いますので、それ以上の納得感が重要になります。そして後者の場合ですが、導入が難しい先がどれくらいあるのかをまずは確認してみましょう。これも平均してみると、事務所全体で5%あるかどうかくらいだと思います。つまり1担当者当たり1、2件あるかどうかといったところではないでしょうか。無理な先は諦めて出来るところに導入すると考えれば職員さんの負担も軽減になります。では、どのように提案すると導入がスムーズに進むのでしょうか。【1】 管理者を決めるまずはきちんと進捗具合を管理する人が必要です。はっきりと事務所の中で意見が言えるような年次の高い方やマネジメント層の方などが望ましいです。【2】 顧問先をランク分け(優先順位分け)する次に顧問先の方をABCDランクで分けます。・お願いしたらすぐにやってくれる先はA・少し躓くところもあるかもしれないがやってくれる先はB・時間はかかるけれど最終的にはやってくれる先はC・絶対に無理な先はDといった具合です。【3】 提案期限を設けるランクごとにいつまでに提案をしていくのか期限を設けましょう。ABCランクすべて終わるまでに3年くらいはかかるくらいのつもりで考えましょう。【4】 振り返りをするAランクの提案・導入が終わったらBランクの提案に移る前に振り返りをしましょう。すぐに導入すると思っていたAランクであっても躓くことは多々あります。どこで躓いたのか、何故躓いたのかということを振り返ってからBランクの提案を行いましょう。逆にAランクを提案してきたという経験と自信も相まって、Bランクの導入の方がスムーズに進んだということもありますので、焦らず提案していきましょう。いかがでしょうか。ポイントは・出来るところからやっていく・出来ない先は諦めるの2つです。いきなり『全件に提案しよう!』や『難しい先からやっていこう!』というのはむしろ失敗する事例を多く聞きます。会計事務所も顧問先もより良い方向に進むための提案を受け入れてもらうためにも、確実に導入できる先から提案をしていきましょう!
2020.09.30 11:39:24