優良申告法人について教えてください!
旭課長「黒田さん、優良申告法人について教えてくれませんか。」
黒田「もちろん構いませんが、何かありましたか。」
旭課長「外部の研修に参加した時に優良申告法人について少し聞いてきたので、もしこれに該当すれば対外的に信用が高まるのではないかと思いまして。」
黒田「そうですか、ただ優良申告法人というものが一般に浸透していないので、対外的な信用という点についてはどの程度効果があるか不確かです。とはいえ税務署から一定以上の信用を得た証ではありますね。」
リエ「優良申告法人って何ですか。」
黒田「優良申告法人とは、『申告納税制度の趣旨に即した適正な申告と納税を継続し他の納税者の模範としてふさわしいと認められる法人』をいいます。具体的には、いくつかの基準を満たしていることが国税当局に認められ、所轄税務署長から表敬状が授与されることによって優良申告法人となります。」
旭課長「当社がその基準を満たしているかどうか分かりませんか。」
黒田「一概には言えません。優良申告法人となるには調査を受けることが前提で、その調査の結果、基準を満たしていると判断される必要があります。その基準の中には(1)法人税・消費税・源泉所得税について不正計算がなく、追徴税額が一定金額以下であること、(2)その他の国税でも不正計算や多額の更正等がないことなど明確なものもありますが、(3)一切の取引について整然かつ明瞭に記録されるとともに、帳簿や証拠書類が適切に整理・保存され、取引等に係る事実関係及びその会計処理が速やかに確認できること、(4)経理体制が確立され内部牽制が機能していること、(5)従業員等他の者に対して適正な納税義務の履行を喚起する又は租税教育に取り組むなど、代表者の税務に対する認識が深いと認められることといった曖昧な基準も含まれていますので、現状御社が基準を満たしているかどうか判断するのは難しいです。」
旭課長「なるほど、明確ではない基準については具体的にどの程度まで達成できていればいいのかが不明瞭ということですね。」
黒田「その通りです。しかも、今申し上げたのは調査における基準の一部で、これ以外にも、直近3年間の法人税の所得金額又は同期間の消費税額が一定金額以上であることなどの基準もあります。」
リエ「かなり厳しいですよね。経理や税務に携わる者としてはもし認められたら嬉しいとは思いますが。」
黒田「そうですね、課税当局からそこまで評価されるというのは非常に価値が高いとは思いますが、これを達成するには時間をはじめとした相当なコストがかかります。それでも優良申告法人となることを目指すのであれば、もちろん私共は協力を惜しみませんが。」
旭課長「確かにコストはかかるでしょうね。でもあまりコストをかけない工夫をしながら時間をかけて目指していきたいですね。」
リエ「そうですね、私も頑張ります。」