母の知り合いを採用しようと思ってるんだけど…
60歳前後の方を採用
あゆみ:この間、母の知り合いの人と会ったんだけど、その方が私の会社で使えるすごいスキル持ってて、私がこういう会社をやっているとお話したら興味を持ってくれたの。その方を採用しようと考えてるんだけど。
ケン:差し支えなければ、おいくつの方ですか?
あゆみ:今57歳だったかな。
ケン:就業規則に定年は設けていますか?
あゆみ:特段何も考えずに定年は60歳にしているわ。
ケン:その方には60歳以降も働いてもらう予定ですか?
あゆみ:もちろんそのつもり。
ケン:60歳定年制はどうされますか?
あゆみ:なくしてもいいと思ってる。
ケン:その場合には給付金や助成金が支給される場合があります。
高齢者雇用継続給付金
ケン:60歳になった方を雇用し続ける場合には「高齢者雇用継続給付金」が本人に支給されます。要件は、
①雇用保険の被保険者であった期間が5年以上であること
②60歳以上65歳未満の被保険者の60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に下がっていること
です。また、支給される期間は65歳の誕生月までです。
したがって、その方の場合は雇い入れてから5年経過したときから支給されることとなり、支給期間は3年に満たない期間となります。
あゆみ:それでも支給されるのはいいことよね。
ケン:申請は、ハローワークに2カ月に一度する必要があります。この申請は本人でも会社でもどちらでもいいことになっています。初回は給付申請書と振込口座の指定届に雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書と賃金台帳、本人確認できる運転免許証等のコピーを添付して提出します。2回目以降は、支給申請書と賃金台帳等が必要です。
あゆみ:会社は何かすることある?
ケン:本人が直接申請する場合には、雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書を記載し会社印を押印して本人にお渡しすることが必要です。また、賃金台帳等も持たせてください。
あゆみ:因みにだけど、どのくらい支給されるの?
ケン:60歳の時の給料が30万円だとすると、そのあとの給料が20万円の時はおよそ16,000円、18万円の時は27,000円です。
あゆみ:わかったわ。
65歳超雇用推進助成金
あゆみ:会社が受給できるものは何かありますか?
ケン: 65歳以上への定年を引き上げや高齢者の雇用管理制度の整備等、高齢者の無期雇用への転換を行う場合において、経費を要したときは「65歳超雇用推進助成金」が会社に支給されます。
その助成金は平成31年4月現在で、3つのコースがあります。
①65歳超継続雇用促進コース
②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
③高年齢者無期雇用転換コース
この3つのうち、社長の会社で受給できるものは①の「65歳超継続雇用促進コース」と③の「高年齢者無期雇用転換コース」です。②のコースは受給できないわけではないですが、多少面倒です。
あゆみ:①のコースは?
ケン:①の「65歳超継続雇用促進コース」は、被保険者数が2人までの場合には10万円から20万円が支給されます。その要件は就業規則において
(イ)定年を引上げる
(ロ)定年を廃止する
のいずれかを満たせばよいこととなっています。
(イ)の要件ですが、定年の引き上げ年数が5年以上で定年が66歳以上の場合には支給金額は20万円となります。
あゆみ:③のコースは?
ケン:③の「高年齢者無期雇用転換コース」は50歳以上で定年年齢未満の契約期限のある労働者を無期雇用に転換させた会社に一人当たり48万円が支給されます。その要件は
(イ)「無期雇用転換計画書」を高齢・障害・求職者雇用支援機構に提出し、計画内容について認定を受けていること
(ロ)就業規則等に「有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度」を規定すること
(ハ)実際に50歳以上の定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換し、6ヶ月以上給料を支給すること
です。申請は転換後6カ月分給与を支給した日の翌日から2カ月以内にしなければなりません。
あゆみ:わかったわ。何か注意することはある?
ケン:毎年の労働保険は期限までに納付してください。滞納があるとこれらの助成金を受けることができません。また、助成金の申請をする際、不正は絶対にしないでください。
あゆみ:それは大丈夫。申請するときはよろしくね。