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社葬費用、通常要すると認められる部分は損金

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リエちゃんと黒田さんが月次決算の打合せをしているところに、田中社長がやって来ました。

田中社長「黒田さん、ちょっと質問いいかい?」

黒田「はい。もちろんです。」

田中社長「最近、取引先の社葬に参列する機会が多くてね。少し気になっていたのだけれど、社葬の費用って、税務上の損金になるのかな? 規模によっては、結構な金額になると聞くからね。」

黒田「はい。その社葬が社会通念上妥当と認められる場合で、社葬のために通常要すると認められる部分の金額を会社が負担したときは、当該負担額を支出した事業年度の損金の額に算入することができます。」

リエ「社葬のために通常要すると認められる部分の金額とは、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか?」

黒田「もちろんケースバイケースなのですが、取引先や会社関係者への案内費用、葬儀場使用料、読経料、会葬礼状費用などは、一般的な会葬の費用であり、通常要すると認められる部分の金額に該当するものと考えられます。」

田中社長「香典返しの費用はどうかな?」

黒田「香典返しは、香典に対する返戻の意味合いが強く、通常は、ご遺族が負担すべきものと解されています。よって、香典返しの費用は、社葬のために通常要すると認められる部分の金額には該当しないと考えられます。ただし、会葬者が持参した香典等については、法人の収入としないで遺族の収入とすることができます。」

田中社長「ありがとう。疑問が解決したよ。」


≪社葬費用≫
法人税法基本通達9-7-19
法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(注)会葬者が持参した香典等を法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認める。



監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエちゃんと黒田さんが月次決算の打合せをしているところに、田中社長がやって来ました。田中社長「黒田さん、ちょっと質問いいかい?」黒田「はい。もちろんです。」田中社長「最近、取引先の社葬に参列する機会が多くてね。少し気になっていたのだけれど、社葬の費用って、税務上の損金になるのかな? 規模によっては、結構な金額になると聞くからね。」黒田「はい。その社葬が社会通念上妥当と認められる場合で、社葬のために通常要すると認められる部分の金額を会社が負担したときは、当該負担額を支出した事業年度の損金の額に算入することができます。」リエ「社葬のために通常要すると認められる部分の金額とは、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか?」黒田「もちろんケースバイケースなのですが、取引先や会社関係者への案内費用、葬儀場使用料、読経料、会葬礼状費用などは、一般的な会葬の費用であり、通常要すると認められる部分の金額に該当するものと考えられます。」田中社長「香典返しの費用はどうかな?」黒田「香典返しは、香典に対する返戻の意味合いが強く、通常は、ご遺族が負担すべきものと解されています。よって、香典返しの費用は、社葬のために通常要すると認められる部分の金額には該当しないと考えられます。ただし、会葬者が持参した香典等については、法人の収入としないで遺族の収入とすることができます。」田中社長「ありがとう。疑問が解決したよ。」≪社葬費用≫法人税法基本通達9-7-19法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。(注)会葬者が持参した香典等を法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認める。
2019.08.26 16:15:57